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少年事件

少年事件

少年事件とは?

刑事法上、「少年」とは、満20歳に満たない者を意味し、家庭裁判所の審判に付される少年は、

① 犯罪少年→満14歳以上で罪を犯した少年
② 触法少年→満14歳未満で①に該当する行為を行った少年のことで、刑事責任を問わない
③ 虞犯(ぐはん)少年→保護者の正当な監督に服しない性癖があるなど、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあると認められる少年
に区別されます。

少年事件の流れ

少年事件の流れを大まかに整理すると

①家庭裁判所への送致前
②家庭裁判所への送致後

の二つの段階に分けることができます。

「家庭裁判所への送致」とは、少年事件が検察官等から家庭裁判所へ引き継がれることです。
大人の事件は、起訴されて裁判所に引き継がれる事件もあれば、起訴されずに警察や検察の段階で終了する場合もあります。

これに対して、少年事件では、犯罪の嫌疑があれば全て家庭裁判所へ引き継がれます。家庭裁判所という専門機関が関与することで、刑罰一辺倒ではなく、少年の実情に応じた柔軟な処分をすることが可能になります。

少年の逮捕や勾留は家庭裁判所に送致される「前」に行われます。
これに対して、少年の裁判(少年審判)は家庭裁判所に送致された「後」に行われます。逮捕されると、48時間(2日)から最大23日間、身体拘束されることとなります。ただし、少年については、成人の場合と異なり、「やむを得ない場合」でなければ
勾留をすることができないと定められています(少年法48条1項,同法43条3項)。

弁護方針

少年事件の弁護士ができる6つのこと

①早期釈放
逮捕後、検察官や裁判官に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されれば、
勾留される可能性が高まります。
勾留されると最長20日間、身柄拘束されてしまいます。

弁護士は、事件の内容や少年をとりまく状況から、
逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に主張することで、勾留阻止(=釈放)を目指します。
家庭裁判所に送致された際は、少年が鑑別所に収容されないよう弁護士から裁判官に意見書を提出することが可能です。

②取調べの対応方法のアドバイス
少年は心身が未成熟であり、知識や判断能力も十分ではありません。
そのため、大人以上に、取調官の誘導を受けやすく、捜査機関にとって都合のよい供述調書を作成されてしまうおそれが十分考えられます。
弁護士が頻繁に少年と接見し、黙秘権の意味や手続の流れをわかりやすく説明します。

③被害者との示談交渉
被害者がいる事件の場合、弁護士が被害者と示談交渉を行います。
親が示談金を支払って示談をすることは、少年自身に身をもって責任の取り方を示すという点で、
大きな教育的効果があるので、少年の更生のために目に見える努力をしているという点で、裁判官にも評価されます。

④内省を深める
少年が非行事実について認めている場合は、弁護士が少年と一緒に
事件を起こした原因や被害者の気持ちを考えることにより、少年の内省を深めます。
犯罪被害者が書いた本を読ませ、感想文などを書いてもらう場合もあります。

⑤環境を調整する
少年の雇用主に対し弁護士が継続雇用を働きかけます。
少年と親との関係が悪化している場合は、弁護士が間に入って修復を図ります。
周囲の交友関係に問題がある場合は、少年の同意を得た上で、
電話番号を変更したり、不良グループと距離を置いてもらうこともします。

⑥家庭裁判所調査官との面接
家庭裁判所調査官は、少年の性格や生活環境、更生の見込み等を調査した後、
調査結果を「社会記録」としてまとめて裁判官に提出します。
社会記録には少年の処分についての意見が書かれています。裁判官はその意見をふまえて少年の処分を決定します。

もし社会記録に「少年院が相当」との意見が書かれてしまえば、少年院に収容される可能性が高まります。
弁護士が事前に調査官と面接し、少年の反省状況や環境調整の結果を伝え、
社会の中での更生が可能であることを理解してもらうように努めます。

その他についてよくある質問

名誉毀損罪 職場からの帰宅途中に、職務質問を受けさせられました。あれって必ず応じなければならないですか?

職務質問は、警察官職務執行法(以下、「警職法」)2条1項を根拠に行われます。警職法2条1項では、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と規定しています。しかし、警察官は、あくまで「質問…できる」とされています。そのため、職務質問というものは、あくまで任意に行われることが要求されます。
また、職務質問を受ける人は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、「身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されること」はありません(警職法2条3項)。加えて、職務質問は「個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行」するために、必要最小限の態様等で行われることが要求されています(警職法1条1項、2項)。
判例上は、職務質問の有効性確保のため、一定の有形力の行使(例えば質問した警察官から逃げようとしている者に対し、警察官が腕を掴んだ)は認められています。また、職務質問に付随するような形で、警察官が所持品を検査することも認められています。しかし、一定限度を超えた有形力の行使は、必要最小限と言えなくなるため、違法となります。もっとも、「一定限度」というのがどの程度なのかというのは、残念ながら明確に区分されているとは言えません。
 以上をまとめると、職務質問というのは、あくまで任意の形で行われなければならないため、これを拒否したとしても、直ちに逮捕されるようなことはありません。もっとも、警察官は犯罪予防のためや、犯罪に関する捜査等のために、職務質問を行っていると考えられます。そのため、明確な理由もなく職務質問を拒否した場合、何かしらの疑いをかけられることは否定できません。また、職務質問を拒否する際、警察官を突き飛ばす等してしまうと、場合によっては、公務執行妨害罪(刑法95条)が成立する余地が出てきます。そのため、何もやましいことがない場合は、素直に職務質問に応じるべきかもしれません。もし、何らかの不当な扱いを受けるようなことがあった場合は、弁護士に相談してください。

暴力事件 警察から取り調べの呼び出しは応じなくてもよい?

刑事訴訟法198条本文では、捜査機関は「犯罪の捜査」につき、「必要がある」場合、「被疑者の出頭を求め…取り調べることができる。」と規定しています。捜査機関には「刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正…迅速に適用実現」することが求められています(刑事訴訟法1条)
もっとも、被疑者は「逮捕又は勾留されている場合」を除き、「出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる」とされています。そのため、「逮捕」や「拘留」といった身体拘束がなされていない場合、被疑者に対する取調べは、あくまで警察方から任意の協力を要請されて行われているものということになります。
しかし、「逮捕」や「拘留」といった身体拘束がなされている場合、身体拘束を受けている被疑者は、出頭を拒否することや随時退去することは許されないということになります。刑事訴訟法198条2項により、「自己の意思に反して供述をする」ことは強要されませんが、取調べをする捜査機関からの問いかけについても、その場に留まっていないといけないということになります。その意味で、身体拘束を受けている被疑者には、取調べを受忍する義務が発生していると言えます。
いずれにせよ、捜査機関は「事件の真相を明らか」にするために捜査活動を行い、その一環として取調べを行っているので、捜査機関に協力する方がいいかもしれませんね。

暴力事件 暴行事件を起こした場合、必ず逮捕されますか?

いいえ、必ず逮捕されるわけではありません。刑事事件として処理された暴行事件のうち被疑者が逮捕された割合は過去の事例から約40%です。ただし、路上、駅など公共の場所や飲食店などで暴行事件を起こし、警察に通報されれば、本人の言い分や社会的地位にかかわらず、その場で現行犯逮捕されてしまうことが少なくありません。

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