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暴行

暴行事件

暴行とは?

暴行罪の暴行とは人の身体に対し不法に有形力を行使することです。その結果、被害者がけがをすれば傷害罪になります。
典型的な暴行は殴ったり蹴ったりすることですが、次のようなケースも暴行罪の暴行になります。

【肩を押す】
故意に相手の身体の一部を押した場合は、暴行になります。人混みの中で意図せず体が当たってしまった場合は、故意がないので暴行にはなりません。

【襟首をつかむ】
口論などでカッとして相手の襟首をつかんだ場合は、暴行になります。殴っていないから暴行にならないというわけではありません。

【足元に石を投げる】
投げた石が相手に当たれば暴行になるのは当然ですが、相手にあたらなくても、すぐ近くに落ちた場合は、暴行になります。このように、直接接触していなくても、相手の身体に向けて有形力を行使し、ヒヤっとさせたときは暴行になってしまいます。

【防犯スプレーを噴射する】
人に向けてスプレーを噴射することも暴行になります。スプレーをかけた相手が結膜炎等になれば傷害罪が成立します。

このように暴行罪の暴行は、世間一般でいう「暴力」よりも広く捉えられていますので注意が必要です。

刑罰

人を暴行した場合、暴行罪が成立します。
刑罰は、①2年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留、④科料のいずれかになります。
実際は、拘留や科料になることは考えにくいです。

暴行の逮捕率

2018年に刑事事件として処分された暴行事件のうち、被疑者が逮捕されたケースは45%でした。
暴行罪は、被害者にけがが発生しておらず、軽微な犯罪といえますが、その割には半数近くのケースで逮捕されてしまいます。

暴行の勾留率

暴行で逮捕された後、勾留された確率は54%、勾留が延長された確率は43%でした。
*勾留の期間は原則10日ですが、最長20日まで延長可能です。

暴行で逮捕されないケース

2019年に刑事事件として処分された暴行事件のうち、55%は逮捕されず在宅事件として処理されています。
在宅事件のケースでは、検挙されてから2か月程度で検察庁に引き継がれることが多いです(書類送検)。
取調べについては、警察署で1、2回、検察庁で1回実施されることが多いです。

示談が成立したときは、検察庁では一度も取調べが行われず不起訴になることも少なくありません。

暴行罪の加重犯罪

①暴行した結果、被害者がけがをすれば傷害罪になります。刑罰は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
②数人で共同して暴行したときは、集団暴行罪が成立します。刑罰は3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
③常習的に暴行罪を犯したときは、常習暴行罪が成立します。刑罰は3ヶ月以上5年以下の懲役です。
④警察官等の公務員に暴行した場合は公務執行妨害罪になります。刑罰は①3年以下の懲役、②3年以下の禁錮、③50万円以下の罰金のいずれかです。

弁護方針

暴行を認める場合

示談成立、早期釈放、不起訴処分、執行猶予付き判決獲得のために早い段階での弁護活動の開始が重要になります。

逮捕の後は、勾留に移行することがあり、逮捕は最大でも3日間の身体拘束ですが、勾留は最大20日の身体拘束となります。

できる限り早期解決を目指して弁護活動を行っていく必要があります。

暴行を認めない場合

例えば、相手が先に手を出してきたために、防御として暴行を行った場合、正当防衛として、無罪となります。無実を主張すると同時に、早期釈放を求めていきます。
早期釈放の為に重要なのは、被疑者が暴行行為をしていないことを示す証拠を、検察官や裁判所に多く提出することです。弁護士は出来るだけ多くの証拠を収集し、早期保釈に向けて弁護活動を行います。

その他についてよくある質問

名誉毀損罪 職場からの帰宅途中に、職務質問を受けさせられました。あれって必ず応じなければならないですか?

職務質問は、警察官職務執行法(以下、「警職法」)2条1項を根拠に行われます。警職法2条1項では、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」と規定しています。しかし、警察官は、あくまで「質問…できる」とされています。そのため、職務質問というものは、あくまで任意に行われることが要求されます。
また、職務質問を受ける人は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、「身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されること」はありません(警職法2条3項)。加えて、職務質問は「個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行」するために、必要最小限の態様等で行われることが要求されています(警職法1条1項、2項)。
判例上は、職務質問の有効性確保のため、一定の有形力の行使(例えば質問した警察官から逃げようとしている者に対し、警察官が腕を掴んだ)は認められています。また、職務質問に付随するような形で、警察官が所持品を検査することも認められています。しかし、一定限度を超えた有形力の行使は、必要最小限と言えなくなるため、違法となります。もっとも、「一定限度」というのがどの程度なのかというのは、残念ながら明確に区分されているとは言えません。
 以上をまとめると、職務質問というのは、あくまで任意の形で行われなければならないため、これを拒否したとしても、直ちに逮捕されるようなことはありません。もっとも、警察官は犯罪予防のためや、犯罪に関する捜査等のために、職務質問を行っていると考えられます。そのため、明確な理由もなく職務質問を拒否した場合、何かしらの疑いをかけられることは否定できません。また、職務質問を拒否する際、警察官を突き飛ばす等してしまうと、場合によっては、公務執行妨害罪(刑法95条)が成立する余地が出てきます。そのため、何もやましいことがない場合は、素直に職務質問に応じるべきかもしれません。もし、何らかの不当な扱いを受けるようなことがあった場合は、弁護士に相談してください。

暴力事件 警察から取り調べの呼び出しは応じなくてもよい?

刑事訴訟法198条本文では、捜査機関は「犯罪の捜査」につき、「必要がある」場合、「被疑者の出頭を求め…取り調べることができる。」と規定しています。捜査機関には「刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正…迅速に適用実現」することが求められています(刑事訴訟法1条)
もっとも、被疑者は「逮捕又は勾留されている場合」を除き、「出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる」とされています。そのため、「逮捕」や「拘留」といった身体拘束がなされていない場合、被疑者に対する取調べは、あくまで警察方から任意の協力を要請されて行われているものということになります。
しかし、「逮捕」や「拘留」といった身体拘束がなされている場合、身体拘束を受けている被疑者は、出頭を拒否することや随時退去することは許されないということになります。刑事訴訟法198条2項により、「自己の意思に反して供述をする」ことは強要されませんが、取調べをする捜査機関からの問いかけについても、その場に留まっていないといけないということになります。その意味で、身体拘束を受けている被疑者には、取調べを受忍する義務が発生していると言えます。
いずれにせよ、捜査機関は「事件の真相を明らか」にするために捜査活動を行い、その一環として取調べを行っているので、捜査機関に協力する方がいいかもしれませんね。

暴力事件 暴行事件を起こした場合、必ず逮捕されますか?

いいえ、必ず逮捕されるわけではありません。刑事事件として処理された暴行事件のうち被疑者が逮捕された割合は過去の事例から約40%です。ただし、路上、駅など公共の場所や飲食店などで暴行事件を起こし、警察に通報されれば、本人の言い分や社会的地位にかかわらず、その場で現行犯逮捕されてしまうことが少なくありません。

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