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盗撮は現行犯以外で逮捕することは難しい?逮捕されるケースや証拠とは



満員電車や駅のエスカレーターで盗撮をしてしまった…。けれども現行犯逮捕されなければ大丈夫だと思っている方もいるかもしれません。しかし、盗撮の罪で後日逮捕されることもあります。

今回は、現行犯逮捕以外のケースには何があるのか、どのような場合逮捕されてしまうのか、盗撮はどのくらい重い罪なのか、など詳しくご説明していきます。

盗撮は現行犯以外でも逮捕される

逮捕には、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3種類があります。それぞれどのようなものか簡単にご説明します。

①通常逮捕

もっとも一般的といっても良いのが「通常逮捕」です。裁判官が発布した逮捕状に基づいて行われる原則的な逮捕になります。逮捕状が発布されるには、証拠資料に基づいて、2つの要件が必要になります。

(1)逮捕の理由
→「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる正当な理由」が必要になります(刑訴法199条1項本文)
(2)逮捕の必要性
→被疑者に「逃亡や罪証隠滅の恐れがある」ことを言います(刑訴法199条2項担書、規則143条の3)

以上を踏まえると、自由を制限する逮捕は、罪を犯したことが確実であったとしても、逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合はできないことになります。

②現行犯逮捕

現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者の身柄を拘束することをいいます。通常逮捕とは違い、逮捕状は必要なく、警察などに属さない私人にも逮捕することが認められています。

また、明らかに罪を行い終わって間もない場合も、「準現行犯」として逮捕できます。

日本国憲法第33条では、「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となってゐる犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されないとして令状主義を定めており」と記されています。

基本的には令状が発行されないと逮捕されませんが、例外的に現行犯逮捕があるとの考え方になります。盗撮に関しては、その場で被害者や周りの人に目撃されるケースが多くありますので、「現に罪を行なったもの」として逮捕されることに聞き馴染みがあるのでしょう。

③緊急逮捕

緊急逮捕は「重大犯罪のみ」と限定されて認められています。裁判官の逮捕状を求めている間も無く、一部の重大犯罪を犯したことを十分に疑う理由がある場合に許されています。

しかし、逮捕後はすぐに逮捕状を請求して発布される必要があり、裁判官から認められなかった場合は、身体の拘束をただちに解き、釈放しなければなりません。盗撮の場合は、重大犯罪ではないため、緊急逮捕されることはありません。

後日逮捕されるケースや証拠とは

では、盗撮で通常逮捕されるケースや証拠はどのようなものでしょうか。

後日逮捕(通常逮捕)されるケースとは

①監視カメラの映像からバレる
盗撮は、駅の構内・公共施設・ショッピングモールなど人混みで起こりやすい犯罪です。そして、大抵このような場所には複数の防犯カメラが仕掛けられています。もし現行犯逮捕から逃げ切ったとしても、犯行の前後の映像は確実に残っており、犯人が誰かを特定することは簡単に行える場合もあります。

②犯行現場を目撃されていた
もし防犯カメラに映っていなかったとしても、誰にも目撃されていないとは限りません。目撃者はショッピングモールや駅のスタッフに盗撮の事実を報告し、服装・背格好・その他の特徴など目撃した情報を伝えます。警察が事件性があると判断すれば、そこから捜査が始まり、身元を特定される可能性が十分にあります。

③別で捜査されていた場合
盗撮とは別件で捜査されていた場合、押収されたスマホやPCから盗撮の証拠が見つかってしまい、罪が問われる可能性があります。

後日逮捕(通常逮捕)される証拠物とは

監視カメラの映像や目撃情報は、後日逮捕される証拠物にもなりますが、他にも証拠として扱われるものがあります。

①仕掛けていたカメラ
公共のトイレや勤務先の更衣室など、通常衣服を着ない場所にカメラを仕掛ける盗撮のパターンがあります。もしカメラが発見されれば、回収、被害届が出されて捜査となります。

この場合は、カメラの持ち主が真っ先に犯人と推測されますし、カメラを仕掛ける際に犯人が写り込んでいる可能性もあります。

②落とした持ち物
盗撮がバレて逃げているときに、カバンや貴重品を落とすケースがあります。財布を落としてしまえば身分証から個人情報はわかりますし、交通系ICカードであれば乗り降りした駅の情報から監視カメラの映像と照合すると特定される場合もあります。

しかし、落し物だけでは盗撮の証拠にはなりません。そのため、持ち主を任意で呼び出し事情聴取をすることで証拠としたり、防犯カメラの映像や目撃情報と合わせて、逮捕の証拠とすることになります。

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盗撮で問われる罪とは

盗撮事件で逮捕される罪は基本的に4種類考えられます。

①迷惑防止条例違反

駅のエスカレーターや電車内など、公共の場で盗撮をした場合は、迷惑防止条例違反に該当します。
各都道府県によって罰則が異なり、東京都の場合は下記のようになります。

行為 罰則
盗撮目的で撮影機器を設置した場合 6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
撮影機器で盗撮をした場合 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習的に盗撮をしていた場合 2年以下の懲役または100万円以下の罰金

②軽犯罪法違反

公共の場所以外で盗撮をした場合は、軽犯罪法違反に該当します。学校・会社内のトイレ・カラオケボックスの個室・会社内・タクシーの車内などで「のぞき行為」をしたことに対しての罰則となり、「拘留(1日以上30日未満の拘束)または科料(1,000円以上10,000円未満の罰金)」が課せられます。

③住居侵入罪や建造物侵入罪

また、盗撮目的で勝手に住居や店舗に立ち入った場合には、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」の処罰対象になる場合もあります。「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が課せられます。

④児童ポルノ禁止法

盗撮をした相手が18歳未満だった場合、「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」の罪に問われます。
児童ポルノを製造したとされた場合の罰則は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。

被害届が出ていなければ逮捕されない?

被害者が盗撮に気づいていない場合は、被害届は出されません。ただ、被害届が出されていないからといって、犯罪にならないわけではありません。

盗撮は必ず被害者がいる犯罪ですが、社会の平穏を害する犯罪ともされています。盗撮が起こってしまっては、安心して市民生活を送れなくなるので当然のことかと思います。そのため、被害届が出されていなくても、処罰を受ける可能性が十分あります。

逮捕された時の流れ

逮捕された場合の流れについて説明します。

①逮捕後48時間以内

逮捕されると警察による「取り調べ」がおこなわれます。警察官が48時間以内に釈放するか検察官に送致するかを決定します。場合によっては、「微罪処分(びざいしょぶん)」になり厳重注意を受けて前科がつかずに釈放される場合もあります。

また、「捜査で集められた書類とともに身柄も送致される」ケースと「捜査で集められた書類のみ検察官に引き渡され、身柄は在宅事件扱いとして釈放される」ケースがあります。

②逮捕後72時間以内

検察官に身柄が送致されると、検察による取り調べが行われます。検察は24時間以内に、裁判所に「勾留請求」をするか、起訴・不起訴にするか、釈放するかを判断します。この72時間は家族や友人との面会はできません。唯一、弁護士のみ面会が許されています。

24時間以内に十分な取り調べが行われなかった場合や、証拠隠蔽や逃走の恐れがあると判断した場合に、身柄の拘束が必要だとして裁判所へ「勾留請求」が行われます。

③勾留(最大20日間)

裁判官によって勾留が決定されると、基本的に10日間身柄の拘束が続き、検察官による取り調べが行われます。容疑を否認している場合や、取り調べが不十分の場合は、さらに10日間の延長がされる場合もあります。

④起訴

捜査の結果、犯罪の有無・反省しているかどうか・示談状況の有無など全てを考慮して、起訴か不起訴かを判断します。

起訴になれば、約一ヶ月後から裁判が始まります。起訴まで勾留されていた場合は、裁判が始まるまでの一ヶ月間も「起訴後勾留」が続きます。不起訴になれば、前科がつくことなくその段階で身柄が釈放されます。

比較的軽度と思われるような100万円以下の罰金または科料に相当する事件の場合、起訴の手続きを簡略化した「略式起訴」になる場合もあります。

こちらは裁判所に出廷することなく、検察が提出した書類をもって審理されます。外部に事件の情報が漏れにくく懲役もないため、一見好都合かと思われがちですが、裁判で争うことがないため、ほぼ確実に有罪となってしまいます。

⑤刑事裁判が開かれ、判決が下される

裁判の場では、事件の証人が証言をしたり、弁護人が意見を述べたりします。そして様々な意見が出揃ったところで、裁判官によって判決が下されます。判決が確定するまでには、数ヶ月程度かかるのが一般的です。

盗撮事件で有罪となった場合は、罰金刑や懲役刑が科されることになります。罰金刑では、決められた罰金を支払って身柄が釈放され、懲役刑では刑務所に収監されます。

被告が初犯だったり、余罪がない場合、被害者との示談が成立している場合は、「執行猶予」がつくこともあります。

逮捕されても起訴されないためには

逮捕後の流れについてはご説明しましたが、起訴の手続きを簡略化した略式起訴であっても、100万円以下の罰金または科料が課せられ、前科がついてしまいます。職場や家族への影響も考えると、起訴だけは避けたいものです。

そのためには、刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。

検察から起訴されると、99%の確率で有罪となってしまいます。起訴されないためには、不起訴処分を獲得する必要があり、そのためには被害者と示談交渉をしなければなりません。

しかし、盗撮をされた被害者は、不安感や嫌悪感を覚えるのは当然で、被疑者と直接あって交渉をしたくないと考えるのが普通です。弁護士であれば、第三者として被疑者の代わりに交渉を行ってくれ、示談成立を獲得できる可能性が高くなります。

また盗撮事件は被害者がわかっていない場合があります。そうなると示談交渉ができないため、どうしたら良いかわからないでしょう。しかし弁護士であれば、被害者の連絡先を合法的に入手できる可能性があります。

また、弁護士会や慈善団体などに寄付をする「贖罪寄付(しょくざいきふ)」というものがあります。罪に問われている人の「反省の意」を検察に表すことができ、不起訴処分となったり、執行猶予がついたりします。

逮捕が心配なら弁護士に相談を

盗撮は現行犯以外でも十分に逮捕される可能性があります。逮捕の心配を毎日抱えて生活するよりも、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士ならば、少しでも処罰を軽くするために最善を尽くしてくれるでしょう。

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