盗撮で後日逮捕されるケースとは?自首したほうがいい?
目次
盗撮は現行犯逮捕以外はあまりないと誤解されがちですが、後日逮捕されるケースは多くあります。
この記事では、盗撮で後日逮捕されるケースとはそういったものか、後日逮捕されるとどうなるのかなど、具体的にご説明します。
盗撮で後日逮捕されることはある?
盗撮は現行犯逮捕されることが一般的ですが、後日逮捕されるケースもあります。
後日逮捕とは
後日逮捕とは、犯行を行った日以降に捜査機関が犯人を逮捕することを言います。
逮捕には、通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕がありますが、後日逮捕は裁判官が発布した逮捕状に基づいて行われる通常逮捕に該当します。そして裁判官が逮捕状を発布するためには、2つの要件が必要になります。
(1)逮捕の理由
→「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる正当な理由」が必要になります(刑訴法199条1項本文)
(2)逮捕の必要性
→被疑者に「逃亡や罪証隠滅の恐れがある」ことを言います(刑訴法199条2項担書、規則143条の3)
逮捕は、自由な行動を著しく制限するものです。そのため、逮捕の理由があったとしても、逃亡や罪証隠滅の恐れがないと判断されれば、逮捕されないことになります。
盗撮で逮捕されるケースとされないケース
先ほどご説明したように、逮捕状の発布には「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があることが重要です。そのため、警察が裁判所に逮捕状の請求をする際、逮捕の理由や必要性があることを示す資料を合わせて提出します。
逮捕されるケース
①被害者や目撃者の証言があった
盗撮をしているときに被害者に気づかれてしまった、周りの人に見つかり声をかけられてしまった場合、目撃者の証言から個人の特定につながり、逮捕に繋がる証拠になるケースがあります。
②防犯カメラの映像に映っていた
盗撮の目撃情報があったら、警察は付近の防犯カメラや店舗で使用された電子マネー・カード情報から犯人の特定を始めます。
盗撮は大勢の人が集まるような公共の場所で行われることが多く、そういう場所には大抵防犯カメラが設置されています。その場では逮捕されなくとも、時間をかけて捜査をすることで、後日逮捕に繋がる可能性は十分あります。
③仕掛けていたカメラや機材が見つかった
トイレや更衣室など、衣服を脱ぐことがある場所にカメラを仕掛ける盗撮も中にはあります。そういう場所に仕掛けていたカメラを回収する前に他の人に見つかってしまった、被害届が提出されてしまった場合は、重要な証拠物として捜査の対象になります。
カメラを設置する際に、自分の姿が写り込んでいて犯人と特定されるケース、カメラの持ち主が特定されるケースなどが考えらます。
④逃走時に落とした持ち物から特定された
盗撮をしているときに被害者や周りの人にバレて逃走するケースがあります。
急ぐあまり持っていたカバンや貴重品が落ちてしまい、そこから個人情報が特定される可能性があります。交通系ICカードであっても、移動履歴の情報から監視カメラの映像と照合し特定される場合もあります。
落し物だけでは十分な証拠とならないため、すぐにされる可能性が低いですが、警察から任意で呼び出しを受けたり、事情聴取されることはあります。
逮捕されないケース
盗撮をしたという証拠物は揃っていても、明らかに逮捕の必要性がなければ、逮捕されないケースもあります。逮捕の必要性とは、「逃亡や証拠隠蔽の可能性がある」場合です。
盗撮事件の場合、警察に自首をする・任意捜査に応じる・被疑者を監督する身元引き受け人を立てるという対応をすることで、逮捕される可能性を低くすることが可能です。
もしかして逮捕される?兆候はあるのか
逮捕される前の兆候として考えられるケースは次の2つです。
①任意の事情聴取
警察は、逮捕に踏み切る前に任意の事情聴取を要請してくることが多くあります。任意となるため絶対に応じなければいけないわけではありませんが、拒否すると逃亡や証拠隠蔽の可能性があるとして、逮捕される可能性が高まります。
任意の事情聴取には応じた方が良いでしょう。
②家宅捜索
家宅捜索は、裁判所が発布する捜索差押許可状に基づいた、強制的な調査になります。
犯罪の証拠を得るために行われるため、盗撮事件の被疑者に対しては、PCやスマートフォン、その他盗撮したデータが含まれていそうな物品が押収の対象になります。
逮捕されないためにできること
逮捕されるのではないかと不安に思っている方は、下記のような行動を起こすことで、逮捕の可能性を低くすることができます。
自首する
後日逮捕されないためには、自主することも重要になります。
刑法により、ある刑事事件について犯人をが特定される前に自主した場合は、その刑を減刑できると定められており、自主したということは逃走の恐れはないと検察や裁判所に示すことができます。
しかし、そもそも捜査が始まっていない盗撮事件に対して自首してしまうと、それをきっかけに新たに発覚することになるため、自主した方が良いかどうかは一度弁護士に相談することをおすすめします。
示談交渉
示談交渉をして、被害届や告訴状の提出を止めてもらう、もしくはすでに出しているものを取り下げてもらう事で、逮捕を回避できる可能性が高くなります。
盗撮で問われる罪とは
盗撮で問われる罪には、基本的に4つの種類があります。
①迷惑防止条例違反
盗撮事件でよく耳にする現場として、電車内やエスカレーターなどがありますが、そういった公共の場で盗撮をした場合は、迷惑防止条例違反に該当します。
罰則は各都道府県によって異なり、下記の表は東京都の場合の罰則になります。
行為 | 罰則 |
盗撮目的で撮影機器を設置した場合 | 6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
撮影機器で盗撮をした場合 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
常習的に盗撮をしていた場合 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
②軽犯罪法違反
①に対して、公共の場所以外で盗撮をした場合は、軽犯罪法違反に当てはまります。
会社内・学校・施設のトイレ・カラオケボックスの個室などで「のぞき行為」をしたことに対して罰則が課せられ、拘留(1日以上30日未満の拘束)又は科料(1,000円以上10,000円未満の罰金)となります。
③住居侵入罪や建造物侵入罪
また、盗撮することを目的に、無断で店舗内や住居に立ち入った場合は、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」の処罰対象になる場合があります。「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が課せられます。
④児童ポルノ禁止法
盗撮の被害者には、学生も多く見られます。もし被害者が18歳未満だった場合、「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」の罪に問われることがあります。
罰則は、「3年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」と定められています。
後日逮捕されたらすべきこと
盗撮で逮捕されてしまったらすぐにすべきことは2つです。
弁護士に依頼
逮捕されてしまったら、まずは弁護士に弁護を依頼する事をおすすめします。釈放や不起訴処分にするための手続きを進めるためです。
逮捕後の勾留は最大で3日間に及びます。その間は家族や知り合いとの面会はできず、唯一弁護士だけが面会できます。勾留が長引き、家族や職場への影響を少しでも減らすためにも、弁護士へ依頼することが大切です。
示談交渉
逮捕されてしまったとしても、不起訴にするために示談交渉を進めることは重要です。
ただし、被害者が誰かわからない・連絡先がわからないというケースがほとんどではないでしょうか。
たとえ自首をして示談交渉をしたいとしても、加害者が被害者の情報を得ることはできません。
しかし弁護士であれば、警察や検察に被害者の情報を問い合わせることができますので、示談交渉をできる可能性が高くなります。
また盗撮を受けた被害者としては、加害者と直接交渉をすることは避けたいと考えるのが普通です。そんな時、弁護士を介しての交渉であれば、被害者も安心して交渉を受けることができ、冷静な話し合いの元、示談成立を獲得できる可能性が高くなります。
まとめ
検察から起訴されると、99%の確率で有罪となってしまいます。有罪にならないためには、不起訴処分を獲得する必要があり、そのためには弁護士と一緒に然るべき手続きを進める必要があります。
少しでもお困りのことがありましたら、当事務所の経験豊富な弁護士にご相談ください。