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「わいせつ行為」とは?「みだらな行為」「痴漢」との違い


わいせつ行為とは

「わいせつ行為」とは判例では、「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」と定義され、刑法176条によって規定されています。

●刑法176条
13歳以上の男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。

「わいせつ行為」は体への接触、キス、脱衣など性欲を刺激し興奮させる行為のことを言いますが、状況によってさまざまです。

例えば、「痴漢」は相手から”了承をとっていない状態で身体を触るなどの行為”であることから、まさに強制わいせつ罪に該当すると考えることができます。

しかし現実には、
下着の中に手を入れて直接身体に触れた場合→「強制わいせつ罪」
下着の上から身体に触れたのみの場合→「迷惑防止条例違反」

の適用が行われています。

みだらな行為とは

「みだらな行為」については、青少年健全育成条例や淫行条例に定められていますが、各都道府県によって違いがあります。東京都の青少年育成条例18条を参照します。

●東京都青少年育成条例18条の6
何人も、青少年とみだらな性交または性交類似行為をおこなってはならない。

東京都の青少年育成条例18条では「みだらな行為=性交」を指します。
18歳未満の女子高生などに金銭を支払って性行した場合には、相手の同意があったとしても、青少年保護育成条例違反となり罰せられることとなります。

ですが、相手の同意があっての性交でしたら強姦罪は成立しません。
なので相手が18歳未満だとしても、結婚を前提とした真剣な交際をしている中で、性行為に及んだとしても罪には問われません。
ただし、結婚を前提に長く交際をしている、相手の児童と年齢が近いなど、真剣交際であったことを客観的に示さなければなりません。

淫行=淫らな行為

「淫行」とは「みだら(淫ら)な行為」のことをいい、一般的に同じ「性交」の意味で使われています。

●児童福祉法34条1項6号
何人も次に掲げる行為(児童に淫行をさせる行為)をしてはならない。

児童福祉法における「淫行」は「みだらな行為」よりも少し広い概念で捉えられており、「性交」に加えて「性交類似行為」も含まれます。

性交とは女性器に男性器を挿入する行為ですが、性交類似行為とは口腔性交や肛門性交、その他不健全な性的行為を指し、相手の性別も問いません。
同性同士の行為や、女性が18歳未満の男性を相手にする行為も「淫行」として罰せられます。

性交類似行為の判例としては“異性間の性交とその態様を同じくする状況下における、性交を模して行われる手淫・口淫行為、同性愛行為など実質的に見て性交と同視し得る態様における性的な行為”とされています。

・相手の乳房、性器を触る
・相手に性器を触らせる
・相手の身体に陰茎を押し当てる

といった行為などのことを指します。

痴漢とは

「痴漢」とは、法律的な用語ではなく、“相手同意なく卑わいな言動や行為などの性的な嫌がらせをすること”をいいます。
例えば、混雑する電車内で異性のお尻を触る行為などが痴漢の典型的な例として挙げられます。
痴漢を規制するのは、各都道府県が定める迷惑防止条例です。

●東京都の迷惑防止条例第5条1項
何人も正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安を与える行為であって、次に掲げる行為をしてはならない」とし、その一つの行為として「公共の場所または公共の乗り物において、衣服その他身に着けるものの上から又は直接に人の身体に触れること。

東京都の迷惑防止条例では、身体への直接的な接触行為の他、盗撮なども違反行為として定められています。

刑事罰:「わいせつな行為」の場合

強制わいせつ罪

相手の同意なく、暴行や脅迫をして”わいせつな行為”を行なった場合は、「強制わいせつ罪」として6ヶ月以上10年未満の懲役刑となります。
また、相手が13歳以下だった場合、相手の同意があったとしても、強制わいせつ罪として罰せられます。

強制性交等罪

相手の同意なく、暴行や脅迫をして”性行為”を行なった場合は、「強制性交等罪=強姦罪」として5年以上の重い懲役刑となります。
この場合も、相手が13歳以下だった場合、相手の同意があったとしても、強制性交等罪として罰せられます。

2017年に「強姦罪」から「強制性交等罪」へと名称が変わり、親告罪から非親告罪となり、被害者の訴えの有無に関わらず、捜査機関が逮捕・起訴を行うことができるようになりました。
性行為や性行為までの間に、被害者に怪我をさせたり死亡させたりした場合には、無期および6年以上の懲役と、さらに刑罰が重くなります。

公然わいせつ罪

人目につく場所で下半身を露出したり性的行為を行うなどの”わいせつな行為”をした場合には、「公然わいせつ罪」となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

【公然=人目につく場所とはどんなところ】
・道路や公園
・デパートなど公共の場
・個人の住宅の中でも周囲から丸見えであるような場合
・SNSなどのインターネット上の投稿

「公然わいせつ罪」には特定の被害者がいないので、強制わいせつ罪や強制性交等罪と比べて比較的に軽い刑罰となっています。

児童売春・児童ポルノ

18歳未満の児童に対して、お金などの金品を渡す代わりに性的行為を行うこと=「買春行為」をすると、「児童買春罪」となり、5年以下の懲役または300万円以下の罰金に科せられます。
また、18歳未満の児童の”わいせつな写真や動画”などを撮影すると「児童ポルノ製造罪」となり、児童ポルノと見做される写真や動画を持っているだけで「児童ポルノ単純所持」という罪となります。

わいせつ物頒布罪

わいせつな内容が書かれた文章やわいせつな画像などを頒布や販売・公然と陳列するような行為をすると、「わいせつ物頒布罪」となり、2年以下の懲役または250万円以下の罰金を科せられます。

<わいせつ物頒布等罪(わいせつぶつはんぷとうざい)>
●刑法175条
第1項
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

第2項
有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

ですが、日本では成人向け雑誌やアダルトビデオは一般的に市販されており、「18歳未満購入禁止」という購入制限を設け、さらに陰部に修正を加える事で黙認されています。

また、インターネット上では修正が加えられていない動画やわいせつな画像が出回っていますが、それらのサイト運営者のサーバーが海外にあるなどの理由で摘発できない状況にあります。

刑事罰:「みだらな行為」の場合

「みだらな行為」に対する刑事罰は、青少年健全育成条例や淫行条例で規定されています。
しかし前述の通り、淫行条例は各都道府県によって異なるため、刑罰も多少の違いがあります。

●東京都青少年育成条例18条の6
何人も、青少年とみだらな性交または性交類似行為をおこなってはならない。
違反した場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。

ここで東京都の場合には、青少年は18歳未満の人物とされていますが、16歳未満や6歳以上18歳未満などと定義している県もあります。

この条例に違反した場合の刑罰も各都道府県によって異なり、埼玉県では1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

刑事罰:「痴漢」の場合

東京都の迷惑防止条例では、身体への直接的な接触行為の他、盗撮なども違反行為として定められており、同条例違反の痴漢行為があった場合には、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、盗撮は1年以下の懲役または100万円以下の罰金として痴漢よりも重い罪が科されます。

まとめ

「わいせつ行為」「みだらな行為」「痴漢」の違いはお分かりいただけましたでしょうか。
暴行・脅迫の有無や、状況によって刑事罪が異なるため、法律的専門的な判断が必要となります。
もしそのような事件に関わってしまった場合、どのような行為があり、どのような罪に問われるか、刑事事件に強い当弁護士事務所にご相談ください。

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