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盗撮で問われる迷惑防止条例とは?どのような行為が違反になるのか



盗撮で問われる罪には、場所・方法によっていくつかの種類がありますが、その一つに「迷惑防止条例違反」というものがあります。

もし自分やご家族が盗撮をしてしまったら、どのような場合に「迷惑防止条例違反」に当てはまるのでしょうか。また逮捕されたり、高額な罰金を支払う必要はあるのでしょうか。

この記事では、盗撮事件における「迷惑防止条例違反」について、具体的にご説明します。

「迷惑防止条例」とは

「迷惑防止条例」とは、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって都民生活の平穏を保持することを目的とする(東京都 / 第一条より)」条例の総称です。

東京都では、正式名称を「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不要行為等の防止に関する条例」と言います。

つまり盗撮行為だけでなく、公共の場所で人々の迷惑となるような行為を取り締まる条例ということになります。例えば、痴漢・チケット転売・付きまといなども、違反行為に当たります。

また、迷惑防止条例の「処罰の対象」や「罰則」は、各都道府県がそれぞれ定めています。

盗撮被害にあった・盗撮をしてしまった場合の処罰は、その犯罪行為があった都道府県の迷惑防止条例が適用されることになります。

「迷惑防止条例違反」で課せられる都道府県別の罰則

先述したように、迷惑防止条例の内容は都道府県によって異なりますが、例として人口の多い順で5つの都道府県を並べてみると、その内容に大きな違いはありません。

都道府県 行為 場所 罰則(撮影した場合)
東京都 撮影・のぞき・盗撮を目的とするカメラの設置やカメラを向ける行為 公共の場所・公共の乗り物・学校・タクシー・住居・更衣室等 ・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金
神奈川県 撮影・のぞき・盗撮を目的とするカメラの設置やカメラを向ける行為 公共の場所・公共の乗り物・学校・タクシー・住居・更衣室等 ・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金
大阪府 撮影・のぞき・盗撮を目的とするカメラの設置やカメラを向ける行為 公共の場所・公共の乗り物・住居・更衣室等 ・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金
愛知県 撮影・のぞき・盗撮を目的とするカメラの設置やカメラを向ける行為 公共の場所・公共の乗り物・学校・タクシー・住居・更衣室等 ・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金
埼玉県 撮影・のぞき・盗撮を目的とするカメラの設置やカメラを向ける行為 公共の場所・公共の乗り物・学校・タクシー・住居・更衣室等 ・1年以下の懲役または100万円以下の罰金
・常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金

しかし、対象となる場所の多さに違いがあったり、実際に盗撮したデータがある場合とない場合で、罰則の内容が変わる場合など、細かな違いがあります。

では、幸い迷惑防止条例に違反していなければ、盗撮は罪に問われないのかといえば、そうではありません。盗撮事件で問われる罪には、迷惑防止条例以外にもいくつかあり、そのどれかに該当することがほとんどです。

「迷惑防止条例違反」の罰則とは?

では、盗撮行為により迷惑防止条例違反となった場合は、どうなるのでしょうか。

東京都を例に挙げると、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」「常習の場合2年以下の懲役または100万円以下の罰金」とあります。

ほんの出来心で盗撮をしてしまったとしても、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とかなり重い処罰が下ることになります。また、常習的に盗撮を行なっている場合は、「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」となるなど、さらに重い罰が課せられます。

もし執行猶予付きの懲役や罰金で済んだとしても、有罪となり前科がつくことに変わりはないため、家族や会社の人たちに影響がでる可能性が十分にあります。

しかし、初犯であれば、弁護活動を行うことによって不起訴処分を獲得し、前科をつけずに対処できる可能性があります。

その他に盗撮はどのような罪に問われる?

盗撮で問われる罪には、迷惑防止条例違反の他に、「軽犯罪法違反」「住居侵入罪や建造物侵入罪」「児童ポルノ禁止法」などがあります。それぞれ処罰の対象や、罰則などを見てみましょう。

軽犯罪法違反

公共の場所以外で盗撮をした場合、「のぞき行為」として軽犯罪法違反になることがあります。例えば、タクシーの車内・会社・学校・カラオケボックスなどが当てはまります。

先ほど、迷惑防止条例には対象となる場所の多さが違うことがあるとご説明しましたが、いくつかの都道府県ではタクシーの車内や会社など、私的な場所が対象に入っていないことがあります。

そのような場合に、軽犯罪法違反が該当します。その罰則は、「拘留(1日以上30日未満の拘束)又は科料(1,000円以上10,000円未満の罰金)」となっています。

住居侵入罪や建造物侵入罪

盗撮を目的として、正当な理由なく、人の住居や邸宅、店舗などの建造物に入り込むと「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」に問われることがあります。

他にも、空き巣をしようとして住居に忍び込んだり、万引きを目的にスーパーマーケットに入る行為も、これらの罪に該当します。

罰則は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が課せられます。

児童ポルノ禁止法

盗撮の被害者が18歳未満だった場合、「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」の罪に問われます。

最近では、小学校の教員が女児の体を盗撮したとして逮捕され、「児童ポルノ禁止法違反」により執行猶予付きの有罪判決が下されました。

児童ポルノを製造したとされた場合の罰則は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。

「迷惑防止条例違反」で検挙されたら弁護士に依頼がおすすめ

先ほどご説明したように、「迷惑防止条例違反」で検挙された時に適切に対処できなければ、懲役や罰金が課せられ、家族や会社に迷惑をかけてしまうケースもあり得ます。

まずは、不起訴処分を獲得するために、被害者と示談交渉を行うことが重要になってきます。

しかし、盗撮をされた被害者は精神的苦痛を受けている場合が多く、不安や恐怖を覚えるため、被疑者と直接の交渉をしたくないと考えるケースがほとんどです。もし直接会えたとしても、刑事事件に詳しくない者同士での交渉は「高額な示談金の請求」や「感情的になり交渉が進まない」という事態も考えられます。

そのため、示談交渉は盗撮事件に強い弁護士を介して行うことが良いでしょう。盗撮事件における示談金の相場や、被害者に寄り添った交渉など、適切に進めてくれるため、両者が安心して冷静に対処することができます。

まとめ

今回、盗撮事件でよく耳にする「迷惑防止条例」についてご説明しました。

盗撮行為は様々な場所・手段で行われますが、仮に「迷惑防止条例」でカバーできないケースだったとしても、他の罪が当てはまるケースがほとんどで、必ず処罰が下される犯罪行為です。

盗撮をしてしまい逮捕されるか心配、家族が盗撮被害を受けてしまった、など盗撮事件に関するお悩みは、些細なことでも専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

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