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モラハラとは?

定義

 モラハラ(モラル・ハラスメント)について、法的に明確な定義があるわけではありません。
ハラスメントと言えば、パワハラ(パワー・ハラスメント)やセクハラ(セクシュアル・ハラスメント)といった言葉が世間的に浸透していると思われます。これらは「職場での嫌がらせ」であったり「性的な嫌がらせ」といった内容を表現するものとされています。
従って、「ハラスメント」とは、「嫌がらせ」を指すと考えられます。そのため、モラハラとは、「モラル」に関する嫌がらせということになります。

 「モラル(moral)」とは、道徳や倫理といったものを意味します。
そのため、モラハラとは、道徳的・倫理的な嫌がらせを意味します。厚生労働省の「こころの声」というページでは、モラハラを「言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること」と定義していますが、「モラハラ」は職場に限らず問題となってきています。

「モラハラ」に当たり得る行為

・人格的に貶めるような嘘や発言、暴言、陰口、中傷、畏怖させるような言動
・相手を常に否定、あるいは妨害
・自分を常に正当化し、間違いを認めない
・嫉妬や束縛、洗脳、過度な介入
・細かいルールを押し付ける
・人間関係から切り離す

 このように、モラハラは、発言や態度等によって、他人に対し嫌な思いをさせることが多く、身体的暴力は含まないと考えられています。また、発言や態度により、モラハラが発生することから、モラハラは、職場に限らず、家庭内や友人知人間でも起こり得ます。

「モラハラ」の影響

 モラハラを受けた被害者は、精神的にダメージを負います。具体的には、うつ病や適応障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、睡眠障害といった症状が出ることが多いとされます。

また、精神的ダメージに止まらず、頭痛や腹痛、吐き気、過呼吸、動悸息切れ、めまい等、身体的な障害を発症することも十分あり得ます。

「モラハラ加害者」の特徴

モラハラの加害者にはいくつかの共通する特徴があります。
具体的な特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

・プライドが高く、自分は特別だと思っている。
・人よりも優位に立つためには、嘘をつくなど手段を選ばない。
・自分が正しいと思い、他は間違っていると思いこんでいる
・嫉妬深く、他人の成功を妬む
・世間体を気にして,外では優しくふるまっている

「モラハラ」への対処法

 まずは、相手に対して、モラハラをやめるように求めることが考えられます。
この時、当事者だけで話し合うべきではなく、信頼できる、中立的な第三者に立ち会ってもらうべきでしょう。その際、モラハラがあったという事実を証明するものがあれば、自身の請求が認められる可能性が高まります。

 仮に、相手がモラハラをやめる請求に応じない、あるいは、話し合ったにもかかわらず、なおモラハラを続けてくる場合は、訴訟を提起することが考えられます。
具体的には、精神的苦痛を被ったとして、慰謝料請求をすることが考えられます(民法709条、710条)。もっとも、モラハラ自体、道徳や倫理に関するものであり、該当するか否かを画定する要件を導出することが難しい上、精神的苦痛の算出も難しいといった問題があると考えられます。

家庭編

 家庭内でのモラハラに対しては、離婚請求をすることも考えられます。「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(民法770条1項5号)」に当たると判断されれば、裁判上の離婚における離婚原因に該当します。もっとも、モラハラのみが離婚原因に当たるということは難しく、「モラハラが精神的暴力と認定しうる程度に至っている」や「モラハラにより夫婦関係が実質的に破綻している」等と言えるほど評価されれば、離婚原因と認定しえます。裁判まで行わなくとも、調停によって、離婚することも十分可能です。

職場編

 職場でのモラハラであれば、まず、モラハラがなされていることの証拠を集めることが必要となります。同僚や別の上司への相談も考えられますが、設置されていれば、会社内の窓口あるいは会社外の窓口等に相談する方がより適切と言えます。同僚等に相談することで、新たなトラブルが生まれかねないからです。他にも、書面で警告したり、労働審判・訴訟を申し立てるといった方法も考えられますが、自身への不利益がないわけではないことから、避けた方が好ましいといえます。最終的には退職するという方法も考えられます。

終わりに

 モラハラ自体、道徳や倫理が絡む以上、認定は非常に難しくなります。モラハラに当たりうる行為には、意図せずに行いかねないものもあり、知らず知らずのうちに、モラハラをしていることも十分あり得ます。そのため、難しいことではありますが、自分自身の行為がモラハラではないか、考えることも必要と言えます。

 一方、最近では「モラハラを受けている」と相手に伝えることや、本来ならモラハラに当たらない程度の行為に対して、過剰に反応することが、却ってモラハラになりというケースもあります(いわゆる「逆モラハラ」)。また、多くのウェブサイトでは、男性が加害者として記載されていることが多いですが、女性が加害者となることも十分あり得ます。

 モラハラの被害者が、まず採るべき手段は、加害者との距離を置くことになるかと思われます。もっとも、あくまで一般論ですし、家庭内のモラハラ等であれば、距離を置くことは難しいと思われます。そのため、どこかに逃げ場を作ったり、誰かに相談する等して、自分を追い詰めないようにするべきだと思われます。そして、被害の証拠を集める等して、弁護士に相談したり、社内のモラハラであれば、窓口に相談する等、然るべき措置を執ることが好ましいと思われます。

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