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児童買春とは?

児童買春について

 一般に児童買春というと、少年少女に金銭等を与える見返りとして、性的交渉を持つことといったイメージを持たれると思います。近年、SNSの発展とともに、増加傾向にあるといえます。
児童買春については、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「法」)によって規制されています。法によると、児童買春とは、「児童」「児童に対する性交等の周旋をした者」「児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)又は児童をその支配下に置いている者」に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをすることを言います(法2条2項)。
児童買春規制に反した人は、同意があった以上、罪に問われないと主張することがあります。もっとも、法や、青少年健全育成条例(青少年保護育成条例)というのは、そもそも、被害児童との間に性的な行為に対する同意があった場合に関する規制を規定するものであって、同意があったからといって、これらの規制に反しないということにはなりません。
なお、同意がなかった場合は、強制わいせつ罪(刑法176条)や強制性交等罪(刑法177条)が成立することになります。そして、13歳未満の児童については、たとえ同意があったとしても、強制わいせつ罪や強制性交等罪が成立することになります。

解説

 上記定義は、条文をそのまま引用しているため、読みにくいかもしれません。そこで、少しずつ区切って説明していこうと思います。

規制対象行為

条文を読むと、「対償を供与し、又はその供与の約束」をして、当該「児童」に対し、「性交等」をすることを規制していることが分かります(法2条2項)。

<対償供与>

●内容
最初に記載した、児童買春のイメージは「少年少女に金銭等を与える見返りとして、性的交渉を持つこと」というものでしたが、このケースにおける金銭等こそが「対償」ということになります。実際にも、「対償」の典型例は金銭と考えて問題ないと思います。
 もっとも、「対償」というのは金銭に限られません。例えば、ポイントやギフトカード等も「対償」に当たります。また、性交する代わりに家に泊めさせた場合、家に宿泊させたことというのも「対償」となります。
 「対償」について、容疑者の言い分としてよくあるのが、「あげた現金はあくまでお小遣いとして渡したものであって、性的行為の見返りとして渡したものではないから、「対償」ではない」というものです。もっとも、このような主張は認められないでしょう。
 なお、仮に供与した現金が「対償」ではないという言い分が通ったとしても、18歳未満の者に対して、性的交渉を持った時点で、青少年健全育成条例(青少年保護育成条例)や児童福祉法に違反するため、逮捕や懲役・罰金となることは十分あり得ます。

●相手方
条文は
・「児童」
・「児童に対する性交等の周旋をした者」
・「児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するもの)又は児童をその支配下に置いている者」
と規定しています。ここにいう「児童」とは、18歳に満たない者を指します(法2条1項)。
 上記児童買春のイメージである「少年少女に金銭等を与える見返りとして、性的交渉を持つ」においても、実際に「性交等」の対象となる、少年少女に対償を供与するというのは、よくあるケースだと想像つくかもしれませんし、これが規制対象となるのは自然だと思われるかもしれません。
もっとも、法の目的は「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護すること」(法1条)とされています。そのため、児童を保護するためにも、広く、「児童に対する性交等の周旋をした者」や「児童の保護者」「児童をその支配下に置いている者」についても、対償供与の相手方として規定していると考えられます。
 「児童をその支配下に置いている者」としては、たとえば教師がこれに該当すると思われます。教師は児童を指導し、健全な成長を支える立場にある一方、成人と比較すると未熟とされがちな判断力に乗じた犯行というのも少なくないというのが事実です。

<児童>

ここにいう「児童」も、18歳に満たない者を指すことになります(法2条1項)。ここで問題となるのが「18歳以上と誤信して、金銭を対価に性的交渉をしたが、実際は18歳未満だった」という事案です。
児童買春に限らず、一般に犯罪が成立するには、犯罪事実が条文の規定する要件(構成要件と言います)を充足し、かつ、罪を犯したとされる者が構成要件該当事実を認識・認容していることが必要となります。構成要件該当事実の認識・認容を故意といったりします。
18歳未満の者と知りながら対償を支払い、性的交渉をした場合、故意が認められるため、児童買春が成立することになります。一方、刑法38条1項本文で「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」として、故意犯処罰原則(原則として、故意犯のみを処罰するということ)が設けられていることから、児童側が18歳以上だと偽った場合、18歳未満の者と知り得ていないことから、児童買春が成立しないということもあり得ます。
もっとも、18歳未満かもしれないといった、いわゆる未必の故意が認められる場合や、児童と実際に会ったときの見た目の印象や言動などといった客観的状況から児童が年齢を偽っていると認識できるような場合は、児童側が18歳以上だと偽ったとしても児童買春が成立することになります。

<性交等>

 条文では、「性交等」と規定したあとに、括弧書きで続けて行為内容が規定されています。括弧書きでは「性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること」と書かれています。「以下同じ」とあることから、これが児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律における、性交等の定義ということになります。
 もっとも、これは、1つの行為が書かれているというわけではありません。この定義を分解して読んでいくと、複数の行為が規制されていることが分かります。即ち
①性交
②性交類似行為
③自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器、肛門又は乳首を触ること
④自己の性的好奇心を満たす目的で、児童に自己の性器等を触らせること
の4つで構成されているということが分かります。②性交類似行為について、何がこれに該当するかは、具体的事案の中で判断することになります。

刑罰

わざわざ規定することでもないように思えますが、児童買春については、法3条の2で、「何人も、児童買春をし…てはならない」とされています。これに反して児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法4条)。
児童買春の周旋をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となります(法5条1項)。児童買春の周旋をすることを業とした者については、刑が重くなり、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金となります(法5条2項)。児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となります(法6条1項)。そして、児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、7年以下の懲役及び1000万円以下の罰金となります(法6条2項)。
さらに、児童を児童買春における性交等の相手方とさせる目的で、当該児童を売買した者は、1年以上10年以下の懲役となります(法8条1項)。また、児童を児童買春における性交等の相手方とさせる目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、2年以上の有期懲役となります(法8条2項)。なお、法8条1項2項は、未遂の場合も処罰対象となります(法8条3項)。

児童ポルノの意義

 一方、児童買春等においては、少年少女と性交等をしている場面をビデオカメラで撮影録画しているといったことをしていると想像つく人もいるかもしれません。いわゆる児童ポルノと言います。
 児童ポルノについても、法によって規制されています。法によると、児童ポルノとは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものを言います(法2条3項)
 児童買春時、スマホ等で撮影等した場合、児童買春規制違反と児童ポルノ規制違反の両方が成立することになります。

解説

 児童については、児童買春と同様、「18歳に満たない者」を指すことになります(法2条1項)。

 児童ポルノの対象となる内容は
・児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(法2条3項1号)
・他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(法2条3項2号)
・衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの(法2条3項3号)
の3つです。

刑罰

 児童ポルノについても、法3条の2で、「何人も、みだりに児童ポルノを所持し、若しくは2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。」とされています。児童ポルノについては、多くの行為形態が処罰対象となります。

・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者及び自己の性的好奇心を満たす目的で、2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者については、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(法7条1項)。ただし、後者については、自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限られます。

・児童ポルノを提供した者及び電気通信回線を通じて2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者については、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法7条2項)。

・法7条2項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者及び電磁的記録を保管した者については、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法7条3項)。

・法7条3項に規定するもののほか、児童に2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者については、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法7条4項)。

・ひそかに2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者については、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります(法7条5項)。

・児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者及び電気通信回線を通じて2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科することになります(法7条6号)

・法7条6項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者及び法7条6項の電磁的記録を保管した者については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科することになります(法7条7号)

・法7条6項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科することになります(法7条7号)

 なお、法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、1年以上10年以下の懲役となりますし、未遂も処罰されます(法8条1項、3項)

実情

統計

令和2年版犯罪白書によると、令和元年(2019年)において、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反は、3397人とされています。7年連続増加傾向にありましたが、2019年は減少しました。
 また、令和2年警察白書によると、令和元年(2019年)において、送致された児童ポルノ事件の被害者1559人のうち、中学生が621人、高校生が617人を占める状況となっています。自我が芽生え、性に対して興味を持つ一方、判断力はやはり未熟であるが故の結果であることを物語っています。男女の被害児童数についても、男子が209人であったのに対して、女子は1350人にものぼっています。

捜査実務

児童買春が発覚する典型例は、児童の親が事実に気づいたため、警察に通報し、被害届を提出したという場合です。これにより、警察は捜査として、児童のスマホ等を分析し、犯人を特定することになります。他にも、職務質問や補導によって発覚するケースもあります。最近では、警察自体がウェブ上のやりとりを監視するという手法がとられています(これをサイバーパトロールといったりします)。
一方、児童ポルノについては、もっとも多く検挙されているのが「製造」事案です。続いて「提供・公然陳列」「所持」となっています。そのため、児童ポルノについては、販売者が逮捕されると、顧客情報等から、購入者を摘発していくという方法が多いように思われます。また、こちらについても、サイバーパトロールが行われています。具体的には、インターネット上に流出している動画等を発見し、発信元のIPアドレス等から特定した上で、特定した人物のスマートフォンを押収・解析するといったことが行われています。
実際に児童買春(児童ポルノ)規制に抵触してから、すぐに警察から連絡が来る場合もありますが、ある程度時間が経過してから、警察から連絡が来るということも十分にあります。

公判実務

 余罪が複数ある場合、刑事事件化されることが多いと思われます。そのため、たとえ初犯であっても、起訴される可能性は十分にあり得ます。
もっとも、児童買春規制違反の場合、児童も同意しているという前提から、児童が被害者であるとは一概に言えない部分も出てきます。そのため、当該児童との間で示談を試みることも考えられます。児童との間で示談が成立した場合、初犯であれば、不起訴処分(起訴猶予)になる可能性も十分にあります。また、示談が成立しておけば、民事裁判にもなり得ません。
しかし、児童が未成年である以上、事実上、示談の話し合いは児童の親とすることになります。児童の親は、自分の子どもが肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けたとして、怒っていることが想像されますので、示談を結ぶというのは、非常に難しくなってきます。示談がまとまらないとなると、裁判で決着をつけるべきだということになるため、不起訴処分(起訴猶予)を獲得することが難しくなります。
なお、公訴時効は5年と定められています(刑事訴訟法250条2項5号)。そのため、児童買春を行ってから5年経過していれば、被疑者は、当該児童買春について起訴されないということになります。

対応

犯行を認める場合

児童買春や児童ポルノについては、犯罪が重大であり、児童を保護する必要性も高い一方で、SNSでやりとりをしていることが多いという性質上、証拠隠滅が容易ということから、いきなり逮捕されたり、家宅捜索を受けたりしやすい傾向にあると言えます。また、実際に児童買春(児童ポルノ)規制に抵触してから、ある程度時間が経過して、警察から連絡が来るということも十分にあります。
証拠隠滅の可能性がないことや児童に接触しない旨の意思を示すことにより、逮捕を回避し得るとも考えられますが、手元にスマホ等があれば、証拠隠滅も容易にできますし、児童とも簡単に連絡できますから、逮捕を回避できるというのは現実的ではないと言えるでしょう。そのため、捜査機関が逮捕する前に自首・首服するという方法が考えられます。
自首とは、罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に、自発的に自己の犯罪事実を申告し、その処分を求める意思表示をいいます。自首した場合、その刑は、任意的に減軽されます(刑法42条1項)。「発覚する前」とは、犯罪事実が捜査機関に全く認知されていない場合、および犯罪事実は認知されていても犯人の誰であるかが認知されていない場合をいいます。そのため、犯人の所在が不明であるにすぎない場合は、「発覚する前」には当たりません。一方、首服とは、親告罪の犯人が告訴権者(刑事訴訟法230条以下)に対して、捜査機関に発覚する前に、自ら進んで親告罪の犯人であることを申告し、その告訴に委ねることをいいます。この場合も、その刑が任意的に減軽されます(刑法42条2項)。
これらによって、逃亡や証拠隠滅の意思がないと評価され、最終的には不起訴処分(起訴猶予)を獲得できる可能性が高まってきます。
また、逮捕されたとしても、児童買春行為を複数行っておらず、かつ犯行を認める場合、弁護士が検察官、裁判官に対して、勾留を回避・却下するよう意見書を提出することによって、被疑者が釈放されるという可能性も生まれてきます。
さらに、上述のように、弁護士と児童(実質的には児童の親)との間で、示談交渉を進める等により、事件解決を図るというのも1つの手段であると言えるでしょう。

一般的に、刑事事件は、迅速な対応がその後の弁護活動に大きく影響してくると言われます。特に、児童買春事件は、被害者に謝罪しようとして連絡したことが、かえって事態を悪化させかねない、特殊な事案となっています。上述のように、ある程度時間が経過してから、警察から連絡が来るということも十分にあり得る以上、急に警察が来たことに動転して、事態を悪化させかねない行動をとってしまうことも十分にあり得ます。
そのため、早い段階で弁護士に依頼することによって、事案の流れを予測した上で、今後の見通し及び採るべき(あるいは採らざるべき)対応を把握した上で、釈放や不起訴処分の獲得を目指していくことが好ましいと思われます。児童買春・児童ポルノに関する事案は、その性質上、余罪が複数ある場合が多いと言えます。そのため、むやみに当事者間で解決を図ろうとするのではなく、弁護士に依頼することが必要になってくる事案だと言えます。

犯行を否認する場合

犯行を否認する場合において、典型的な事案は、上述した「18歳以上と誤信して、金銭を対価に性的交渉をしたが、実際は18歳未満だった」場合となってきます。この場合、被害者としては、「児童側が18歳以上だと偽ったため、18歳未満だということは知らなかった」と主張することになると思われます。
たとえば、SNSでのやり取り等、買春するためにお互いが連絡しあった記録というのは、上記主張を裏付ける客観的な証拠になり得ます。そこでのやり取りにおいて、児童側が18歳以上だということを伝えていれば、主張を裏付ける証拠となり得るでしょう。また、実際に会った日の服装から、18歳未満とは思えないようなものであれば、主張を裏付ける証拠となり得るかもしれません。
もっとも、上述のように、18歳未満かもしれないといった、未必の故意が認められる場合や、児童と実際に会ったときの見た目の印象や言動などといった客観的状況から児童が年齢を偽っていると認識できるような場合は、児童側が18歳以上だと偽ったとしても児童買春が成立することになります。たとえば、「やりとりに使用したSNS自体が中高生限定であった」という場合や、SNSのアイコン等で制服を着用している姿を写した写真を使用していた場合、あるいは、実際に会った日の服装が制服だった場合、被疑者側の主張は認められにくくなってきます。
一般的に、刑事事件は、迅速な対応がその後の弁護活動に大きく影響してくることを踏まえても、犯行を否認する場合であっても、主張を裏付ける客観的な証拠を収集する必要があるため、早い段階で弁護人を付けて対処することが望まれます。
また、相手方の児童との間で性的な行為がなかったという主張や「対償」となる金銭のやり取りはなかったという主張をする場合もあります。このような場合にも、その主張を裏付ける客観的な証拠が必要になってきます。そのため、早い段階で弁護人を付けて対処することが望まれます。

終わりに

 児童買春や児童ポルノというのは、殺人や放火よりも身近な犯罪類型(令和2年版犯罪白書によると、令和元年における殺人の認知件数は950件、放火の認知件数は840件)と言えます。
近年、インターネットやSNSの流通により、容易に、あるいは知らず知らずのうちに、児童買春・児童ポルノ規制に抵触するということも少なくありません。事柄が事柄なだけに、公になると、社会復帰が困難になることが予想されます。一方、児童側も、事実の性質上、誰にも言えないということも少なくないでしょう。中には、学校生活に支障がでるかもしれないとして、塞ぎ込んでしまうこともあるかもしれません。実際、児童買春に関する事件が裁判となる場合、手続の中で、被害者として供述する場面も考えられますが、児童でなくても、加害者と同じ空間の中で、事件について1つ1つ証言していかなければならないという環境は、計り知れない精神的苦痛があるでしょう。
 弁護士に相談することで、最善の解決策を見つけることができる可能性は高まると言えます。上述した事案の特殊な性質上、刑事実務に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。とくに被害に遭われた児童については、何より心のケアが必要になります。この点も踏まえた上で、依頼者のための弁護方針を決定していくことが求められてきます。

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