保釈金とは?? | 福岡の刑事事件に強い弁護士に無料法律相談 | 弁護士法人 大明法律事務所
まずはお気軽に
ご相談ください
365日24時間対応
tel 電話で相談 e-mail メールで相談 line LINEで相談
ホーム > 刑事事件解決法 > 刑事事件コラム > その他 > 保釈金とは?

保釈金とは?

①意義

刑事訴訟法(以下略)では、保釈という制度が設けられています(88条以下)。保釈とは、一定額の“保証金”の納付を条件に、勾留の執行を停止することを言います。この“保証金”こそ、保釈金を指しています。
従って、保釈金とは、勾留されている被告人の身柄を解放する代わりに納付する金銭と考えることができます。刑事訴訟法においても、「保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。」と規定されています(93条1項)。

保釈については、被告人の釈放に向けて、保釈請求権者が保釈請求を行います。これに対し、権利保釈(89条)の例外に当たらないか、当たるとしても裁量保釈(90条)がなされないか、検討されることになりますが、いずれにせよ、裁判官が保釈を許可することが、保釈の条件であることに変わりありません。もっとも、裁判官による保釈許可があったとしても、それをもって直ちに保釈されるわけではなく、保釈で釈放されるためには保釈金の納付が必要となります。即ち、保釈金の納付は保釈の要件ということになります。
弁護人等は起訴直後に保釈請求を行いますが、その日に保釈されることは少なく、翌日や2~3日後に保釈決定され、保釈金を払うというのが一般的です。

②目的・利点

保釈金納付の目的は、「被告人の出頭を保証する」ことです。保釈金とは、いわば身代金であり、被告人の“身代わり”になっているというイメージだと言えます。そのため、「被告人の出頭を保証する」というのは、被告人に「保釈金が没収されないよう出頭しよう」「保釈金の没収だけはされたくないから、刑を科されるおそれがあっても出頭するしかない」と被告人に心理的圧力をかけ、被告人の出頭を確実にする効果を指すことになります。
保釈金納付の利点は、保釈金を納付すればすぐに釈放されるということです。保釈は、起訴されていないと利用することのできない手続ですが、対象となる被告人は、逮捕以降身柄拘束が続いていることが大半です。保釈の許可決定がなされ、保釈金を納付すると、出所することができます。従って、被告人の精神を安定させることができるという利点があります。
また、保釈金を納付し釈放された場合、裁判所の出頭要請に応じることを条件に、これまで通りの日常生活に復帰することや仕事や学校に戻ることができます。さらに、起訴されている状況なので、裁判に向けて弁護人と十分な打ち合わせができるという利点もあります。
もっとも、出所したことにより精神が不安定になることも十分に考えられますし、「日常生活への復帰」や「仕事や学校へ戻ること」はできたとしても、日常生活や仕事・学校に馴染むことまでは必ずしも保証されていません。その面で、保釈には必ずしも利点があるということではないということになります。

③保釈金を支払う時期

弁護人等が裁判所に保釈請求書を提出して保釈の申請を行います。裁判官は、検察官や弁護人の意見を聞き、保釈金の金額や釈放後の住居等の保釈をする条件等を決定します。その上で、裁判官は保釈を認める決定を行います。従って、保釈金は裁判官による保釈の許可があった後に支払うことになります。
前述の通り、保釈金の納付は保釈の要件ですから、納付がない限り釈放されません。従って、いち早く釈放するためには、保釈許可決定直後に保釈金を納付する必要があります。実務的にも、早く身柄を釈放するため、保釈許可決定の当日に払うのが一般的となっています。

④実際の額

A決定方法

保釈金の金額は、「犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額」となります(93条2項)。前述の目的も加味すると、保釈金というのは、被告人としては払えなくはないけど、いざ没収されるとなると困るような金額である必要があります。
従って、保釈金がいくらというのは、事件類型等で一律に決まっているというわけではなく、犯罪の性質や被告人の資産・収入等によって、「被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額」がいくらかという観点で決定されることになります。

B収入の多寡により保釈金が異なるパターン

上記の判断方法によると、高収入の場合は、自然と保釈金の相場が高額になります。たとえば、政治家の汚職事件や芸能人の違法薬物所持等の逮捕に対し保釈された場合、その旨がニュース等で報道されることもあると思いますが、その際報じられる保釈金が、500万円超から数千万円、場合によっては億単位になるほど非常に高額となるのは、犯した罪が重いのはもちろんですが、それなりの資産を有していることも影響しています。近年だと、カルロス・ゴーン氏がニュースになったと思われますが、その時の保釈金はこれまでの保釈金と比較しても非常に高額(15億円)でした。その他、2006年に証券取締法違反で逮捕・起訴された実業家の堀江貴文氏は最初の逮捕時に3億円(後に追納あり)、2008年に詐欺容疑で逮捕・起訴された音楽プロデューサーの小室哲哉氏が3000万円、2019年に派遣マッサージの施術女性への強制性交等で有罪判決を受けた俳優の新井浩文氏が500万円となっています。違法薬物関連で逮捕・起訴された事案では、ミュージシャンのASKA氏が700万円(2014年)、元プロ野球選手の清原和博氏が500万円(2016年)、俳優の沢尻エリカ氏が500万円(2019年)、元スノーボード選手の國母和宏氏が300万円(2019年) などとなっています。ちなみに、カルロス・ゴーン氏は釈放されている間に国外逃亡したため、保釈金が没収されています。
これに対し、仕事で不可欠な立場にある場合や身元引受人の下で生活できる場合、貯蓄がない場合は、代わりがいないことや同居者という監視がついていることから、逃亡の恐れが低いと言えるため、被告人の出頭を確保しやすくなります。従って、相場はさほど高くなりません。近年では、経済情勢を反映して昔より相場は高くなりましたが、実務的には、特に資産のない被告人の場合、150万円から300万円くらいが多いと思われます。もっとも、学生やアルバイト等年収が少ない場合は100万円ほどになる場合もあれば、年収が高い会社員や医師等になると保釈金が300万円を超える場合もあります。ですが、特に目立った資産のない会社員や公務員等であれば、150万から300万円の間に収まってくると思われます。

C犯した罪により保釈金が異なるパターン

上記の判断方法によると、犯罪の量刑が重い場合は、自然と保釈金の相場が高額になります。たとえば、同じような窃盗事例であっても、単にコンビニで商品を万引きするだけというのと、路上で他人が持つバッグをひったくった場合であれば、後者の方が盗んだ物の価値も高く、他人に負傷させるおそれが高いことから、犯罪の量刑が重くなることが予想されます。その結果、保釈金が自然と高くなります。
また、複数人で犯罪を実行した場合、犯人間の人間関係として、主犯格と実行犯がいる場合、主犯格の人と実行犯の人とでは、保釈金が異なってくる可能性もあります。

D結論

以上から、一般人が保釈金をいくらと算定するのは、非常に困難と言えます。そのため、仮に身の回りの人の保釈にいくらかかるのか知りたいといった場合は、弁護士に相談するという選択をすべきと言えます。事情等を話したうえで、弁護士のこれまでの経験等から、近似した事案における保釈金を鑑みて、おおよその保釈金を予想することも可能になるかもしれません。

⑤保釈金の支払者

裁判官が保釈許可決定を出す時間はお昼過ぎになることが多いです。裁判所は12~13時の間はお昼休憩になっていることが多いことから、一般に保釈許可決定は13時以降に出されることが多いです。そのため、保釈金の納付も午後になることが多いです。
さらに、保釈金の一般的な相場が150万~300万円であることを踏まえると、通常、銀行の口座からお金を引き出す必要が出てくると思われます。もっとも、このような多額をATMで引き出すことは難しく、銀行の窓口まで行く必要がでてきます。銀行の窓口が15時までであることが多いことを考慮すると、保釈許可決定があった時点から当日中の身柄保釈に向け保釈金を納付するというのは、難しい面があることも否めません。
また、保釈金の支払いは原則現金ですが、最近は銀行やネットバンクで電子納付も可能な所も多くなっていますが、平日は仕事の都合等で当日中に支払えない人もいるかもしれません。
以上から、弁護士が納付するという方法も採り得ます。実務的にも、被告人やその家族が用意した保釈金を弁護人が預かり、保釈許可の決定が出たとしても被告人家族が出向かず、連絡を受けた弁護士が裁判所の出納課に納付するというのが一般的な運用となっています。保釈金を納付し、領収印が押された書類を担当部署に提出すると、裁判所から検察庁に連絡が行き、当日中に被告人が釈放されます。

もっとも、前述の通り、最近は、保釈金を銀行やネットバンクで電子納付できる所も多くなってきています。遠方の裁判所で事件が扱われている場合、出向いて納付し釈放されるまでの間に時差が生じることもありましたが、電子納付によって早期対応が可能となりました。ちなみに利用に際しては、事前に登録しておくことが必要になっています。そのため、利用する場合は弁護人に確認をとっておくと安心と言えます。

⑥保釈金が支払えない場合の対応

保釈金を分割で支払うことはできません。その場合、保釈金額の高さ等から、用意できないといった場合もでてきます。親族がいれば、金銭を借りるということも可能ですが、必ずしも借りることができないといった場合の方が多いと思われます。そのような方については「保釈支援協会」という団体が用意している、立替制度の利用により、保釈金の用意をすることになると思われます。
保釈支援協会とは、保釈金の支援を目的とする団体です。家族等からの立替申請を受けると、保釈支援協会は被告人の罪や前科等の審査を行います。審査が通ると、保釈金の立替えとして、500万円まで受けることができます。
保釈金の立替制度を利用する際、注意点が2点ほどあります。1点目は、立替を受けるに際してもお金が必要になるという点です。保釈支援協会の場合も、いわゆる利息に該当する手数料がかかります。たとえば150万円ほど必要となれば、手数料は3万円程度となります。手数料分に相当する金額については、ご自身で用意する必要があります。
2点目は、保釈金立替制度を扱っている業者の中にも、悪質な会社がある点です。保釈支援協会は実績も豊富で安心できる団体ですが、類似の制度を用意している会社の中には、高額な手数料を要求する業者もあります。

以上の注意点を踏まえ、保釈金が用意できず、保釈金立替制度を利用したい場合、まずは弁護士に相談してください。

⑦保釈金の行方

保釈中裁判所の出頭要請に応じるなどし、無事裁判を終えれば、判決が言い渡された日から数日から1週間で、保釈金は全額返却されます。上述した「連絡を受けた弁護士が裁判所の出納課に納付する」例で考えると、弁護人が保釈金を納付する際、自身の預かり金口座を保釈金の返金先に指定する書面も提出します。その後、無事裁判を終えれば、判決が言い渡された日より数日から1週間で、弁護士の預かり金口座に振り込まれます。保釈支援協会に金銭を立て替えてもらっている場合、裁判が終了し、保釈金が還付されれば、保証協会に返金することになります。
もっとも、保釈後の状況によっては、裁判所に保釈金の全部または一部が没収されることがあります。具体的には、カルロス・ゴーン氏のように保釈中に逃亡した場合や、出頭要請に応じないなど正当な理由なく裁判に出席しなかった場合、共犯者に連絡を取る等して証拠隠滅を図った場合、勝手に引っ越しをする等して、住居制限など保釈の条件に違反した場合、被害者等の関係者に危害を加えたり怖がらせた場合等(刑事訴訟法96条)においては、検察官の請求や裁判所の職権により、保釈決定が取り消され、保釈決定取消と保釈金没収を記した書面が、被告人が保釈中に住む住所に送られます。また、保釈が取り消されるような事態では、逃亡の恐れ等も十分に認められることから、警察官等が被告人に勾留状等を示して身柄拘束もされることになります。
ひとくちに保釈といっても、これまでに記載されたような様々な事情が混在しています。それにもかかわらず、何も知らないがため、保釈中に心機一転のための引っ越しや、ちょっとした旅行をした等がため、保釈された喜びも束の間、多額の金銭が没収され、再び身柄拘束の日々を送ることは十分にあり得ます。そのため、身柄拘束につき保釈を要望する場合は、最初から最後までのみならず、その後のことも見据え、弁護士に相談する必要があると言えるでしょう。

刑事事件解決法へ戻る