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痴漢は強制わいせつ??条例違反??

痴漢とは

 一般的に「痴漢」というと,電車やバスの中で,女性に密着をし,スカートの中に手を入れ,陰部を触る,といった行為をイメージすると思われます。
 しかし,法律上は,痴漢に明確な定義があるわけではありません。強いていうのであれば,公共の場所で女性に対して性的に淫らな行為をすることを,一般的に「痴漢」と表現していることになります。
 当然,痴漢は犯罪行為にはなりますが,その行為が何罪に該当するかは,具体的な状況により変わってきます。

何罪に該当しうるか

 痴漢行為は,通常,強制わいせつ罪または各都道府県の条例違反として,立件されることになります。
 強制わいせつ罪は,法定刑が6月以上10年以下の懲役刑となっています。
 条例は,各都道府県において個別に定められていますが,ほぼ全ての都道府県で,「迷惑(行為)防止条例」という名前で条例が定められており,罰則は6月以下の超的または50万円以下の罰則が定められております。

強制わいせつ罪として起訴される場合は,法定刑が懲役刑しかありませんので,刑法176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

福岡県迷惑行為防止条例

・6条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに 、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる 行為をしてはならない。
 -1項 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から触れること。
・11条
 -2項 第二条又は第六条から第八条までの規定のいずれかに違反した者は、六月 以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

強制わいせつ罪と条例違反の区別

 それでは,どのような行為であれば強制わいせつ罪に該当し,どのような行為であれば条例違反にとどまるのでしょうか。この区別も,法律上明確な区分があるわけではないので,個別具体的な事情により判断されることになります。
 ただし,以下のように一定の傾向はあります。
 ( 電車内での痴漢の場面を想定します。)
 

・着衣の上からの接触か否か

  着衣の上,特に,スカートやズボンの上からの接触であれば,条例違反となる傾向があります。これを超えて,パンツの中に手を入れ,直接陰部を弄ぶような行為であれば,強制わいせつとなる傾向があります。

・行為態様

  着衣の上から撫でる,触れると表現されるような軽度の接触行為であれば,条例違反となる傾向があります。これに対して,単に触れる行為であっても長時間の接触が伴う場合や,短時間であっても陰部に指を挿入する行為であったり,胸を鷲掴みにするような重度の接触がある場合は,強制わいせつとなる傾向があります。

 上記は,傾向としての一部の例であって,明確に区別ができるものではありません。また,いずれに罪に該当するかは個別具体的な事情を元に,法的な解釈問題(「暴行」や「わいせつ」の定義づけの問題)が含まれておりますので,安易に判断をすることはできません。

痴漢をしてしまったら

 痴漢行為は犯罪ですし,被害者には一生のトラウマを植え付ける行為ですので,絶対にしてはいけません。しかし,仮に痴漢をしてしまい,警察沙汰になってしまった場合,罪名が強制わいせつとして処断されてしまう可能性があり,前科がついてしまう可能性も十分にあります。
 法律上の解釈をめぐる問題や,示談手続きを進めるためにも,早期に弁護士に相談をしましょう。

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