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弁護士コラム

夫と離婚したくないけど、夫の不倫相手に慰謝料請求したい!

離婚問題
2019.04.25

不貞行為の慰謝料

夫婦は互いに相手に対して貞操義務を負っていますので、配偶者が不貞を行った場合、配偶者に対して慰謝料請求することができますが、不貞相手に対しても、配偶者としての正当な権利を侵害したものとして、不法行為に基づく慰謝料を請求することができます。

従って、配偶者が不貞行為を行った場合には,配偶者に対する離婚を請求することなく、不貞相手に対する慰謝料を請求することができます。

 

婚姻関係の破綻

不貞をした配偶者とその不貞相手に慰謝料を請求できるのは、夫婦の婚姻関係が破綻する前に不貞をした場合に限られるとされています。

このため、不貞の事案では,ほぼ全件で「婚姻関係破綻後の不貞だった」という反論がなされます。

 

では「婚姻関係の破綻」はどのような条件のもとで認められるのでしょうか。

婚姻関係の破綻とは、夫婦の一方または双方が永続的な精神的肉体的結合を目的として共同生活を営む真摯な意思を確定的に喪失するとともに、夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至った場合をいうものと解されます。

その判断に当たっては、夫婦双方の婚姻関係継続の意思の有無、別居の期間、家計の負担状況、精神的・肉体的接触の有無など、様々な事情をもとに判断されます。

婚姻関係の破綻が主張されるケースでは、「自分は何年も前から離婚したいと思っており、夫婦の間に会話は全くなかった」などといった主張がなされることがありますが、婚姻関係の破綻は主観的な事情だけで判断されるものではありません。

 

また、「不貞より相当以前から夫婦生活がなかった」という主張もよくなされますが、婚姻関係とは性的な関係のみではなく、全人格的な結合から成り立つものですので、単に夫婦生活がないというだけで婚姻関係の破綻が認められることは難しいと考えられます。

婚姻関係の破綻が認められるケースの主な例としては、長期別居状態にある夫婦ですが、長期間別居状態にあっても、直ちに婚姻関係が破綻していたと認められるわけではなく、別居の期間や、夫婦の一方に夫婦関係をやり直す意思がなかったかどうかなどの事情が慎重に判断されます。

 

婚姻関係の破綻がなかったことの立証

夫と一緒に行った飲食店のレシートや、夫と一緒に撮った写真などが多く証拠として出されます。夫の不貞以前は、夫婦が協力して生活をしてきて、円満であったということを示すのです。

 

不貞相手への慰謝料の額

不貞相手に慰謝料をいくら請求できるのかは一概に判断できません。

不貞に至った経緯,不貞発覚後の経緯、婚姻期間、未婚の子どもがいるかどうかなど、様々な要素を考慮して判断されますので、数十万円から数百万円まで、幅広く認定されます。

一般的に100万円~200万円といわれておりますが、あくまでもケースバイケースです。

ただし、不貞の結果、夫婦関係が修復困難な状態に至ったかどうかによって、慰謝料額は大きく変わります。不貞判明後、夫婦関係が修復された場合と、修復されず離婚に至った場合とで慰謝料が同額では不公平な結論となるためです。

 

また、夫と不貞相手から慰謝料を二重取りできるわけではありません。

例えば慰謝料として100万円が相当であるとするならば、不貞行為をした配偶者と、不貞相手と、両方に対して100万円を請求できるわけではありません。

不貞行為をした配偶者と、その不貞相手は、共同して他方配偶者の権利を侵害しているわけですから、1個の不法行為と評価され、慰謝料は総額で100万円となります。このため、例えば離婚が先行して、不貞をした配偶者から慰謝料を全額もらってしまった場合には、不貞相手に対しては請求できないことになりますので注意が必要です。

 

また、不貞行為の相手方に慰謝料請求をする場合は、不貞行為に至る過程において、不貞行為の相手方に特別の事情がある場合、例えば、相手の女性が夫が結婚していることを知らなかった、または、夫が相手の女性に対してしつこく関係を迫った等の事情がある場合には、慰謝料請求が認められなかったり、認められたとしても非常に低額になる可能性もあります。

また、慰謝料請求権は、不貞行為それ自体を理由とする場合には、不貞行為があったこと等を知った時から3年、不貞行為が原因で離婚したことを理由とする場合には、通常、離婚してから3年で時効となり、慰謝料の請求ができなくなってしまいますので、注意が必要です。

 

慰謝料を請求するには

慰謝料を請求するには、まず事実関係を確認することが大切です。

配偶者の不貞を発見した場合には,発見した証拠(メール・画像・ホテルの領収書など)をきちんと保存し、それをもとに、配偶者に対し、いつから、どのくらい、誰と不貞を行ったのか確認し、記録に残しましょう。離婚するにしても、やり直すにしても、事実をきちんと知ることは重要なことです。

その上で、不貞相手に対し、協議を求めましょう。相手方が誠実に対応しない場合には、弁護士を通じての交渉、調停、裁判など、断固とした対応が必要になります。その場合は弁護士にまかせることをお勧めします。

 

慰謝料を請求しない方が良い場合もある

今回は、不貞相手が派遣社員ということなので、資力の面でも、給与債権を差し押さえる面でも、実際に妻が慰謝料を手にすることは難しいと思われます。夫とは別居状態のようですが、夫が離婚をしたいと考えていても、不貞を働いた夫からの離婚請求がすぐに認められることはあまりありません。別居期間が2年程度あれば、裁判所も不貞者からの離婚請求を認めることがあります。

 

別居期間中も、夫婦のままではあるので、婚姻費用というものを夫に請求できます。夫と妻の収入によって、独自の計算をし、婚姻費用を請求します。

 

たとえば、夫の収入が700万万円で、妻の収入が300万円だとすると、月々7万円ぐらいの婚姻費用がもらえます。それが2年続くとなると、170万円弱にはなります。夫の働き口や給与口座を知っていれば、差押えをすることだってできます。

 

資力のない不倫相手に慰謝料請求をして、弁護士費用や裁判費用だけをかけるよりも、婚姻費用を月々もらう方が、確実な場合もあります。

 

また、その間に夫の気持ちが妻に戻ってくる可能性もまれにですがあります。

 

まとめ

不倫相手に慰謝料請求をするか、それをせず婚姻費用をもらい続けるか、その両方をするか、選択肢はたくさんありますが、その選択は容易ではありません。困ったときは、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

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