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盗撮の時効は何年?待つよりも弁護士に相談した方が良い?



ご存知の方も多くいると思いますが、犯罪には時効があります。そのため、もし罪を犯してしまっても時効を待っていれば大丈夫、と思っている方もいるのではないでしょうか?

しかし、ただ時効を待っていることは思っているよりもずっと精神的に苦痛となります。いつか逮捕されてしまうのではないかと、長い期間、心配や不安を抱えながら生活しなければならないからです。

盗撮には刑事と民事の時効があり、それぞれ期間や意味する事が異なってきます。今回はそういった盗撮に関する時効や、弁護士に依頼したほうがいいケースなど、具体的にご説明します。

時効とは

「時効」とは、「過去に法律的に正当ではない出来事があったとしても、ある一定期間その責任を問われなかった場合には、その出来事の責任が問われない」とする制度です。正確には「公訴時効」と言います。

犯罪を起こした人が明らかでなく、捜査が始められないと時間だけが経過してしまい、さらに証拠が集めにくくなってしまいます。そうする間にも次々と事件は起こり、その事件自体の社会的影響力も薄れてしまうため、捜査をして有罪・無罪の判決を明らかにする必要性も無くなってしまうのです。

盗撮で問われる罪とは

盗撮事件で逮捕される罪は基本的に4種類考えられます。

①迷惑防止条例違反

駅のエスカレーターや電車内など、公共の場で盗撮をした場合は、迷惑防止条例違反に該当します。
各都道府県によって罰則が異なり、東京都の場合は下記のようになります。

行為 罰則
盗撮目的で撮影機器を設置した場合 6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
撮影機器で盗撮をした場合 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習的に盗撮をしていた場合 2年以下の懲役または100万円以下の罰金

②軽犯罪法違反

公共の場所以外で盗撮をした場合は、軽犯罪法違反に該当します。学校・会社内のトイレ・カラオケボックスの個室・会社内・タクシーの車内などで「のぞき行為」をしたことに対しての罰則となり、「拘留(1日以上30日未満の拘束)または科料(1,000円以上10,000円未満の罰金)」が課せられます。

③住居侵入罪や建造物侵入罪

また、盗撮目的で勝手に住居や店舗に立ち入った場合には、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」の処罰対象になる場合もあります。「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が課せられます。

④児童ポルノ禁止法

盗撮をした相手が18歳未満だった場合、「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」の罪に問われます。
児童ポルノを製造したとされた場合の罰則は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。

上記のように、どのような状況で盗撮を行ったか、ということが関係します。

刑事・民事の時効とは

盗撮のような事件には、刑事事件としての時効と、民事事件としての時効があります。先述した「迷惑防止条例違反」や「軽犯罪法違反」は刑事事件の場合を指します。では、それぞれどういったものなのかご説明します。

①刑事事件の時効

刑事事件の時効を迎えると、逮捕・起訴されたり、裁判を受けることが無くなります。刑事訴訟法250条の規定による公訴時効は、このように定められています。

罪名 時効
迷惑防止条例違反 3年
軽犯罪法違反 1年
住居侵入罪や建造物侵入罪 3年
児童ポルノ禁止法 3年

時効の計算は、「犯罪行為が終わった時」から1日単位で計算をします。例えば、2021年8月10日に迷惑防止条例違反となる犯罪行為をしたとします。その時効は、2024年8月9日となります。

しかし、時効を迎えるまで逃げ切ることができれば良いという訳では全くありません。

軽犯罪法違反の場合、「住居が不明で出頭要請に応じない」という条件を満たしている状況でないと警察は逮捕できません。逆に、出頭要請に応じず、住所も明かさずに逃げることは、警察が逮捕できる状況を自ら作り出していることになります。

②民事事件の時効とは

犯罪行為には、逮捕されるかされないかが一番のポイントであり、それのみに時効なども関わってくると思われがちですが、民事事件としての面もあります。

盗撮行為を受けた被害者が精神上の損害を受けたと判断すれば、民事上の不法行為として損害賠償を請求する権利を持っています。しかし、それがいつでもできるかといったらそうではなく、その権利に時効が設けられています。

民法上、盗撮などの不法行為に対する損害賠償請求は、「被害者が、損害及び加害者を知った時から3年間行使しない場合は、時効を迎える」とされています。刑事事件とは違う条件のため、2点注意が必要になります。

(1)起算点が刑事事件と違う
刑事事件の場合は「犯罪行為が終わった時」から1または3年でしたが、民事事件の場合は「損害及び加害者を知った時から3年間」となっています。被疑者が盗撮をして現行犯逮捕された場合は、被害者もその場に居合わせているため、事件は発生した日が起算日となります。

しかし、逮捕後に余罪が発覚し、他の被害者が「損害及び加害者」を知った場合は、その知った日が起算日となります。3年以上前の犯罪行為だったとしても、仮に今日知ったとしたら、その日から3年間損害賠償請求ができることになります。

(2)民事上の時効は、罪にかかわらず3年
刑事事件の場合は、「迷惑防止条例違反は3年」「軽犯罪法違反は1年」と罪によって時効が決まっていました。しかし、被害者の精神上の苦痛は罪に関係なく平等に扱われるため、不法行為に対する損害賠償請求は3年となっています。

時効を待つことが難しいケース

どこかに身を隠しながら時効を待つことは、かなり厳しいことです。盗撮をしたがその場からは逃げ切ったとしても、被害届が出されれば、警察による調査は進みます。時効を待つことが、より難しくなるケースを下記でご説明します。

①前科前歴がある

前科前歴がある人は、その時採取されたDNAデータや指紋データが警察内に保存されています。逃走中に落としてしまったスマホ・犯行現場で回収し損ねたカメラ、現場に残された指紋などから、すぐに特定されてしまいます。

②犯行現場に忘れ物をした

先述したように、犯行現場にスマホやカメラを残してしまった(=遺留品)場合は、そこに内蔵されているデータから犯人を特定しやすくなります。

スマホには交通系ICカードの個人情報が入っている可能性がありますし、カメラには設置する際に自分の姿が記録されているかもしれません。盗撮の前に交通系ICカードを使って移動をしていたならば、その情報や監視カメラの記録を用いて個人を特定することは容易にできます。

スマホや小型カメラの普及によって、盗撮のような犯罪がしやすくなった反面、街中には無数のカメラが張り巡らされ、自分の情報も知らず知らず蓄積されていることを忘れてはいけません。

③普段通りの生活を送っている

もし通勤中に盗撮をした場合、現行犯逮捕であれば目撃者が多数存在します。もし毎日電車で顔を合わせていたならば、もう同じ電車に乗ることはできません。普段通りに同じ時間に会社に通勤することは難しく、ルートを変更したり時間帯を変更するなどかなりの労力を要します。

時効を待つより弁護士に相談すべき

もし上記のケースに当てはまらないとしても、時効を迎えるまで逮捕されないとは限りません。刑事事件に詳しい弁護士なら、そういった場合でも、少しでも不利益な状況をなくすべく動いてくれます。

具体的には、代わりに被害者と示談の交渉を行ってくれます。当然ながら、被害に遭った人は、被疑者に対して恐怖心や怒りを覚えていることが多くあります。反省しているからといっても、被疑者と直接会って交渉をするということは、かなり難しいことです。

しかし、間に弁護士に入ってもらい代わりに示談交渉をしてもらうことで、相手にもストレスの少ない状況を生み出せるため、示談交渉が進みやすくなります。示談が締結されていると、逮捕や長期間勾留されることを回避し、釈放される可能性も高くなります。また、被害者は被害届を取り下げるか、被害届を提出しないことを取り決めることもできます。

まとめ

明らかに時効を待っていた犯人に対して、被害者側は強く処罰を望んでしまったり、示談に応じてくれないこともあります。警察を見るたびに動機がして、周りの人が目撃者だったのではないか、会社や家族に知られたらどうしようと心配で精神的に病んでしまうケースもあります。

また、時間が経ってから逮捕されたのでは、逃げ続けていたという事実から反省の色が見られないとして、刑事処分が厳しくなる可能性もあり得ます。
もし時効を待っている状況ならば、一度弁護士に相談して見ると良いでしょう。

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