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盗撮で逮捕される?罰則や弁護士を呼ぶ方法について



ほんの出来心で盗撮し、逮捕されてしまった…。通勤・通学中の満員電車でスカートの中を撮影してしまったり、勤務先の更衣室にカメラを仕掛けてしまったり、小型カメラやスマートフォンの普及で盗撮の検挙数は増加傾向にあります。

盗撮はどのくらい重い罰則が課せられるのか、逮捕されたらどうなるのか、無償で一度だけ弁護士と接見する方法など、詳しくご説明します。

盗撮事件とは

警視庁の迷惑防止条例(平成30年7月1日施行)によると、盗撮は下記のように記載されています。

「盗撮とは、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置することです。」

平成30年7月1日に施行された迷惑防止条例では、それまで規制対象外だった「公共の場所や公共の乗物以外の場所における盗撮行為」も厳しく罰せられる対象となりました。

逮捕された時の罰則とは

盗撮事件で逮捕される罪は基本的に4種類考えられます。

①迷惑防止条例違反

駅のエスカレーターや電車内など、公共の場で盗撮をした場合は、迷惑防止条例違反に該当します。
各都道府県によって罰則が異なり、東京都の場合は下記のようになります。

行為 罰則
盗撮目的で撮影機器を設置した場合 6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
撮影機器で盗撮をした場合 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習的に盗撮をしていた場合 2年以下の懲役または100万円以下の罰金

②軽犯罪法違反

公共の場所以外で盗撮をした場合は、軽犯罪法違反に該当します。学校・会社内のトイレ・カラオケボックスの個室・会社内・タクシーの車内などで「のぞき行為」をしたことに対しての罰則となり、「拘留(1日以上30日未満の拘束)または科料(1,000円以上10,000円未満の罰金)」が課せられます。

③住居侵入罪や建造物侵入罪

また、盗撮目的で勝手に住居や店舗に立ち入った場合には、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」の処罰対象になる場合もあります。「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が課せられます。

④児童ポルノ禁止法

盗撮をした相手が18歳未満だった場合、「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」の罪に問われます。
児童ポルノを製造したとされた場合の罰則は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。

逮捕されるケース①現行犯逮捕

盗撮行為が被害者や周りの人に目撃されれば、その場で現行犯逮捕される場合が多くあります。警察でなくても被害者や目撃者が取り押さえ、現行犯逮捕となることもあります。

もし犯罪の意識があり、その場から逃げようとした場合は、その事実が逮捕後に不利に働き勾留期間が延長されたり、逃げている途中に誰かと接触し他の罪に問われることに繋がります。

また、その場からは逃げ切れたとしても、監視カメラの映像などから個人が特定され、後日逮捕されることもあります。逃げることはかなりのリスクとなりますので、絶対にしない方が良いでしょう。

逮捕されるケース②後日逮捕

上記のように現行犯逮捕をされなくても、後日逮捕されることも十分あり得ます。後日逮捕(通常逮捕)とは、警察が犯人を特定し、裁判所に逮捕状を請求して、逮捕状に基づいて行われることをいいます。

その場から逃げ切ったとしても、被害届が出されて監視カメラの映像から個人が特定されたり、仕掛けていたカメラから捜査される場合もあります。音沙汰なく大丈夫だと思っていても、一ヶ月〜数ヶ月後に警察が訪ねてきたり、電話で任意出頭を求められることになります。

確実に逮捕されるかどうかは、被害者や目撃者の事情など様々な要素から確実とは言えません。しかし、明らかに盗撮をした証拠があるにも関わらず容疑を否認していたり、前科や前歴があったり、携帯電話やカメラから盗撮データが見つかった場合は、逮捕されることがあります。

逮捕された時の流れ

逮捕された場合の流れについて説明します。

①逮捕後48時間以内

逮捕されると警察による「取り調べ」がおこなわれます。警察官が48時間以内に釈放するか検察官に送致するかを決定します。場合によっては、「微罪処分(びざいしょぶん)」になり厳重注意を受けて前科がつかずに釈放される場合もあります。

また、「捜査で集められた書類とともに身柄も送致される」ケースと「捜査で集められた書類のみ検察官に引き渡され、身柄は在宅事件扱いとして釈放される」ケースがあります。

②逮捕後72時間以内

検察官に身柄が送致されると、検察による取り調べが行われます。検察は24時間以内に、裁判所に「勾留請求」をするか、起訴・不起訴にするか、釈放するかを判断します。この72時間は家族や友人との面会はできません。唯一、弁護士のみ面会が許されています。

24時間以内に十分な取り調べが行われなかった場合や、証拠隠蔽や逃走の恐れがあると判断した場合に、身柄の拘束が必要だとして裁判所へ「勾留請求」が行われます。

③勾留(最大20日間)

裁判官によって勾留が決定されると、基本的に10日間身柄の拘束が続き、検察官による取り調べが行われます。容疑を否認している場合や、取り調べが不十分の場合は、さらに10日間の延長がされる場合もあります。

④起訴

捜査の結果、犯罪の有無・反省しているかどうか・示談状況の有無など全てを考慮して、起訴か不起訴かを判断します。

起訴になれば、約一ヶ月後から裁判が始まります。起訴まで勾留されていた場合は、裁判が始まるまでの一ヶ月間も「起訴後勾留」が続きます。不起訴になれば、前科がつくことなくその段階で身柄が釈放されます。

比較的軽度と思われるような100万円以下の罰金または科料に相当する事件の場合、起訴の手続きを簡略化した「略式起訴」になる場合もあります。

こちらは裁判所に出廷することなく、検察が提出した書類をもって審理されます。外部に事件の情報が漏れにくく懲役もないため、一見好都合かと思われがちですが、裁判で争うことがないため、ほぼ確実に有罪となってしまいます。

⑤刑事裁判が開かれ、判決が下される

裁判の場では、事件の証人が証言をしたり、弁護人が意見を述べたりします。そして様々な意見が出揃ったところで、裁判官によって判決が下されます。判決が確定するまでには、数ヶ月程度かかるのが一般的です。

盗撮事件で有罪となった場合は、罰金刑や懲役刑が科されることになります。罰金刑では、決められた罰金を支払って身柄が釈放され、懲役刑では刑務所に収監されます。

被告が初犯だったり、余罪がない場合、被害者との示談が成立している場合は、「執行猶予」がつくこともあります。

逮捕されなかったら罰せられない?

犯人が盗撮を認めており、重大な犯罪ではない場合、逮捕されないケースもあり得ます。しかし、なんの罰もないかといったらそうではありません。盗撮をしたという事実があれば、逮捕されたとき同様になんらかの処分が出されます。

はじめに警察から出頭要請がなされ、事情聴取が行われます。それを元に検察官へ事件が送致され、取り調べが不十分な場合は、さらに検察官による取り調べが行われます。

被疑者に反省の色があるかどうか、余罪があるかどうかなどを考慮し、起訴・不起訴の判断をします。処分を下す前に被害者と示談が成立していない場合は、略式罰金処分や公判請求されることもあります。

盗撮で逮捕されたらどうする?

刑事事件の被疑者として逮捕されてしまった場合は、できるだけ早く弁護士を呼ぶことが大切です。逮捕された時に、自分が不利な状況にならないよう、どうしたら良いかを知っている人は多くないでしょう。

もし仮に罪を犯していたとしても、身柄拘束中に弁護士と接見し、黙秘権や供述調書訂正権などの法的知識をサポートすることも十分に可能になります。

正式な弁護人になれば、警察や裁判所と直接話してもらうことができるため、仮に勾留請求がなされたとしても、それを回避する意見書の作成などを行ってくれます。しっかりと条件を満たした意見書の作成が必要になりますので、弁護士が付いてくれることはとても心強いことです。

また、被害者との示談交渉も弁護士が行ってくれます。また、勾留期間が長引いてしまうと職場や家族に迷惑をかけてしまうことも避けられません。

逮捕されてからの勾留期間、ご自分のわかる範囲で対処されるよりも、まずは弁護士と接見し、進め方を検討することをお勧めします。

弁護士を呼ぶには

弁護士を呼ぶといっても、どうしたら良いのかわからない方が多いと思います。また、誰でもいいとは限らず、できるだけ刑事事件に詳しい人を呼びたいものです。逮捕されてしまった時に覚えておきたい、弁護士の呼び方をご紹介します。

①当番弁護士を呼ぶ

先述したように、誰でも弁護士をすぐ呼べるわけではない状況から「当番弁護士制度」が設けられています。

日本全国にある弁護士会が設けているサービスで、逮捕・勾留されている被疑者が無料で一度だけ弁護士と接見できる制度になります。そこで、取り調べの受け方や進め方など、法的なアドバイスを受けることができます。

この制度は、警察官・検察官・裁判官に「当番弁護⼠を呼んでください。」と伝えることで、派遣してもらえます。当番弁護士と会うまでは、自分に不利な状況とならないよう黙秘権を行使していることも可能です。

②国選弁護人に依頼する

先ほど説明した当番弁護士は、一度だけの接見となります。それ以降にも弁護士のサポートを受けたい場合は、正式に依頼し、私選弁護士を雇う必要があります。

しかし、弁護士を雇うには費用もかかり、難しい場合もあります。そんな時に、「被疑者国選弁護人制度」というものがあり、原則として弁護費用を国が負担してくれる「国選弁護人」がいます。

国選弁護人に依頼するには、「銀行預金などの資産の合計が50万円以下」や「誰に依頼するかを選ぶことはできない」という条件がありますが、条件を満たした場合は、継続して依頼することが可能です。

しかし注意が必要な点は、国選弁護士に依頼できるのは、「勾留が決定した後」というところです。逮捕された後すぐに弁護士と接見したい場合は、当番弁護士を派遣してもらうことになります。

まとめ

今回は、盗撮をしたら逮捕されるのか・逮捕されるとどうなるのかなど、具体的にご説明しました。

盗撮はやってしまった時点で犯罪となります。現行犯逮捕されなくとも、時間が経ってから逮捕されることも少なくありません。もしご自身やご家族が逮捕されてしまった時、どのようにすれば良いかの参考になりましたら幸いです。

どのような罪であれ、逮捕されたらまずは弁護士と接見することが重要なポイントとなります。
まずはお気軽にご相談ください。

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